楽天「送料ゼロ」が持つ遠大な視野 公取委はどう判断するか

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送料が「分かりにくいというユーザーの声が強い」(関係者)

   さて、「自由」を特徴にしていた楽天の転機は2013年のプロ野球・楽天ゴールデンイーグルスの日本一を記念したセールでの「二重価格問題」だった。一部出店者が元の価格を高く表示して大幅に値引きしたようにみせたもので、消費者の猛反発を受け、三木谷氏は「厳格にチェックすべきだった」と謝罪に追い込まれた。以降、楽天は「ユーザーメリット第一」を鮮明にしていった。今回の無料化も、「送料が分かりにくいというユーザーからの声が強い」(楽天関係者)ことが根底にある。

   2019年1月に無料化方針を表明して以降、楽天は全国5万の出店者を対象に各地で説明会を開いて理解を求め、8月には無料化の購入額ラインを「3980円」と公表済みだが、当然、反発は強い。10月には一方的なルール変更を批判する約200の事業者が送料無料化の撤回などを求め、「楽天ユニオン」(任意団体)を設立し、公正取引委員会に調査を要請している。楽天のように「プラットフォーマー(PF)」と呼ばれる巨大IT企業に比べ個々の出店者の力は弱く、楽天に店を出せなければ売り上げが落ちて死活問題になるだけに、楽天の意に反するのが難しいことから、送料負担の強制は独禁法の優越的地位の乱用にあたる可能性がある――というのがユニオンの言い分だ。

   これに対し楽天は、ネット通販サイト間の競争が激化する中で、サイトの利便性を高めることが不可欠だとして、無料化により売り上げが伸びて出店者も潤うという、ウィンウィンの関係を訴えている。実証実験では、送料無料の基準を設けることで購買金額と出店者の新規顧客数がそれぞれ約15%、14%増えたとして、説明会でも理解を求めている。

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