回転すしチェーン最大手、スシローグローバルホールディングス(GHD)の株価が年明け後も快調に上昇し、連日上場来高値(2017年の再上場以降の最高値)を更新している。ライバルに比べて死角は見つけにくく、海外展開の状況などによって一段の高値を追う可能性もある。
直近の材料は、2020年1月6日に発表された19年12月の月次データだ。既存店売上高は前年同月比7.0%増と好調。プラスは26カ月(2年2カ月)連続で、大手外食チェーンには厳しい(中小ならキャッシュレス決済による5%国費還元がある)はずの19年10月の消費税率アップもはねとばす勢いだ。既存店客数も2.9%増、既存店客単価も4.0%増と伸びており、投資家の買いを呼び込んだ。
2017年に国内全都道府県への出店を達成
翌7日の東京株式市場で一時前日終値比5.0%(460円)高の9690円まで上昇し、上場来高値を更新した。大発会以降の1月営業第1週は5連騰で、10日にはついに一時、1万20円と1万円の大台乗せ(終値は9960円)。この週を終えて昨年末比8.6%(650円)も伸びた。
1皿100円が基本の回転すし店「スシロー」を展開し、通期の決算期末である2019年9月末の店舗数は国内541、海外25。売上高、店舗数ともに回転すし業界トップだ。店舗は客席数200席程度の大型郊外店が中心。17年9月に国内全都道府県への出店を達成している。19年9月期連結決算(国際会計基準)は売上高にあたる売上収益が前期比13.8%増の1990億円、営業利益は24.1%増の145億円、純利益は24.6%増の99億円でいずれも過去最高を更新した。
特徴は店内調理(2004年にセントラルキッチンを全面廃止)による新鮮で品質の高い寿司。従業員に十分な研修を受けさせ、タッチパネルによる注文を受けてから出来たてのすしを提供している。店内調理は店によって(従業員の力量によって)出来にばらつきが出るリスクを負うが、顧客満足度の高い店は収益も高くなる。また、ライバルチェーンの脅威となっているのが月2回というキャンペーンの頻度の高さ。スシローは1回につき15~20品を提供しており、これも仕入れや調理、タッチパネルの更新など店舗・本部のオペレーション上のリスクを負うが、うまくいけば顧客満足度は高くなる。結果が出ていることが、うまくいっていることを裏付けている。
海外を強化する方針
1975年に創業者の清水義雄氏が大阪市阿倍野区に「鯛すし」を開業したのが始まりで、1984年に「すし太郎」を設立。2000年に「あきんどスシロー」に商号変更。03年に東証2部に上場したが、09年に投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」の傘下に入り上場を廃止。以後、資本関係と経営陣がめまぐるしく変わる中で15年に現在のスシローGHDを持株会社として設立し、17年3月に東証1部に再上場した。18年7月に国内店舗数500を達成。19年6月に神明ホールディングス、元気寿司との資本業務提携契約を解消し、現在の姿となる。
2019年10月、事業会社「あきんどスシロー」の社長にトラック運転手のアルバイトから上り詰めた堀江陽氏(49)が就任したこともこの会社のダイナミックさを示している。働き方改革の観点から、19年から2月に2日間の休業日を設けており、20年は2月4、5日に休む。19年はショッピングモールに出店する十数店舗を除いていたが、20年はこれらも休業対象に含める。
2020年9月期は売上収益が12.4%増、営業利益は12.0%増と高成長の継続を予想している。なかでも海外を強化する方針で、現状の25店に加え、新たに20店舗以上の出店を計画。その成否によって株価は上昇の余地を探ることになりそうだ。