ボクシングのIBOの最新ランキングに元WBC世界バンタム級王者ルイス・ネリ(25)=メキシコ=がバンタム級1位にランクインしている。度重なる体重超過により、世界主要4団体の世界ランクから除外されスーパーバンタム級などへの転級が噂されるなか、ネリの今後に注目が集まっている。
ネリは昨2019年11月に予定されていたエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)とのWBC世界バンタム級指名挑戦者決定戦において体重超過を犯し、世界の主要4団体から締め出しを食う形でランクから外された。WBCのマウリシオ・スライマン会長は、ネリの愚行に対して激怒し、今後バンタム級で試合をさせない意向を示していた。
ペナルティーなしでバンタム級に留まる可能性も...
2018年の山中慎介氏とのタイトル戦に続いての体重超過は、世界中のボクシング関係者から非難された。その一方で指名挑戦者決定戦が中止となったにもかかわらずWBCはネリに対して明確なペナルティーを与えておらず、海外メディアのなかにはネリがこのままバンタム級に踏みとどまる可能性を予想するメディアもある。
ネリに対して主要4団体は足並みをそろえた格好となったが、マイナー団体のIBOはネリをバンタム級1位にランクしている。IBOはランキング作成の際、コンピューターによってランク付けするという独自の手法を用いている。階級はミニマム級からヘビー級までの17階級で、各階級トップ100人がランクに名を連ねている。
IBOの世界ランクは、各選手の直近の成績や実績を考慮して機械的に作成しているとみられる。世界的な試合で2度の体重超過を犯したネリをランキングから外さない理由は不明だが、IBOが独自に作成した世界ランキングではネリは堂々の1位に君臨している。
マイナー団体ながらもメイウェザーJrらが王者に
IBOのバンタム級ランキングをみてみると、1位はネリ、2位はノニト・ドネア(フィリピン)、3位はジェイソン・マロニー(オーストラリア)が入っている。4位には前WBO世界バンタム級王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)、5位にはロドリゲスがランクインしている。日本人選手では前WBC世界バンタム級暫定王者・井上拓真(大橋)が8位にランクインしている。
IBOは世界的にマイナー団体とされ、日本ボクシングコミッション(JBC)が公認していないことから日本のジムに所属している選手は同団体のタイトル戦には出場できない。後発のマイナー団体ゆえ、世界的にさほど影響力はないとはいえ、過去にフロイド・メイウェザーJr(米国)やマニー・パッキャオ(フィリピン)らがベルトを保持していたこともある。
ネリは米国興行大手のプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)と契約しており、契約ではあと3試合残しているという。体重超過から2カ月近く経とうしているのにWBCから声明はなく、再び世界のリングに復活する可能性もある。IBOのランキングがどこまで信用できるかは別として、少なからずいまだ負けなしの30戦全勝のネリに「商品価値」を見出す関係者がいるようだ。