菅原孝さん(75)と菅原進さん(72)の兄弟デュオグループ「ビリー・バンバン」のツイッターアカウントが、ニコニコ動画に投稿されていた本人のボーカルを合成した「アイドルマスター」(アイマス)のMAD動画をチェックし、「公式巡回済み」とツイートまでしていた――こんな事実が、ネットの驚きを呼んでいる。
芸歴50年超えのベテランデュオが、なぜニコニコ動画上の、それもアイマスのMADに興味を? J-CASTニュースが経緯を取材すると、なんと本人から感想を得られた。
動画を「公式巡回済み」と引用RT
ニコニコ動画に2020年1月8日、「メカP」さんによる「ビリーバンバンが歌うエミリー スチュアート「はなしらべ」」という動画が投稿された。
もちろんこれは本人が歌ったものではなく、既存の音源を編集合成し、「アイドルマスターミリオンライブ!」のキャラクターであるエミリー スチュアートの楽曲「はなしらべ」を、ビリー・バンバンが歌っているかのように編集されたMAD動画である。ニコニコ動画ではこのような音声合成動画は「人力ボカロ」というジャンルで定着している。
ところが、これにビリー・バンバンのツイッターアカウントが、メカPさんのつぶやきを引用する形で「公式巡回済み」と投稿をしたのである。このフレーズはニコニコ動画で使われているもので、MAD動画などのうち、ネタ元のアーティストなど自身の目に触れたものを指す。
さらにさかのぼると、同じアイドルマスター系列の「アイドルマスターシンデレラガールズ」のキャラクター・小早川紗枝の楽曲「薄紅」も同様にリツイートされていた。元の動画の違和感のなさもあって、「クオリティが高すぎ」「無駄に上手い」「男声のはなしらべ、想像以上によい」など、動画への評価も上昇している。
ビリー・バンバンといえば、1969年デビューで、1月15日にはデビュー51周年になる「白いブランコ」などのフォークソングをヒットさせ、80年代以降は「いいちこ」CMソング「また君に恋してる」などを歌い続けている息の長いユニットだが、なぜ縁もゆかりも無さそうな現代のゲーム音楽に興味を持ったのか、事務所に取材を申し込んでみると、なんと弟の進さんご本人が答えてくれた。
本人の「歌ってみた」動画も制作中
動画をチェックしていたのは、進さんだった。きっかけはマネージャーが動画を見つけて、「本当に僕の声だからよくこんな事が出来るのだろうかとびっくりしたし、すごい嬉しかった」と感じたそうだ。
ネットで自分たちのボーカルを編集して動画が作られているなどデビュー以来半世紀で初めて知ったという進さん、「何で僕を選んだんだろうって(笑)とても光栄です」とも。アイマスのような近年流行のゲーム・アニメについては「TVで特集を見ていて、声優の世界・アニメの世界が凄いのは知っていたけど...一切興味を持つことはなかったです(笑)」とのことで、
「小さいときは漫画は『赤胴鈴之助』『風小僧」とかはよく見ていたけど(笑)『少年倶楽部』とか『少年ブック』とか読んでいたなぁ。この記事を見ていて、分かる人いないだろうな...(笑)」
と「ジェネレーションギャップ」を思わせるような感想も語った。
さらに取材に対し、実は進さん本人が「薄紅」を歌った動画も制作していて、近日中に投稿する計画だという。人力MADに「本人降臨」がありさらに、ニコニコ動画風に言えば「歌っていただいた」動画が出現するかもしれないというわけだ。
「メロディも綺麗だし、挑戦してみたいと思った。今年72歳のおじいちゃんだけど、自分の音楽の世界も勿論だが、別の音楽もどんどん吸収したいと思ってます。まだまだあと30年歌い続けたいと思っている」
と進さんはこれからの意気込みを話している。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)