「パスの質の違いも出さないと、怖さは与えられない」
元日本代表の名良橋晃氏は10日、J-CASTニュースの取材に、この試合のスタッツと結果の関係について次のように話す。
「相手にとって怖いポゼッション(ボール保持)ができていなかった。縦パスや、バイタルエリアから相手ゴールを脅かすパスは少なかった。守備を構えるブロックの外や、自陣でボールを回す時間が長く、それがパス本数になっていただけだろう。
どこでボールを持っていたかが大事で、相手の危険なエリアでは持たせてもらえなかった。守備陣形を動かすロングパスなど、パスの質の違いも出さないと、怖さは与えられない。そういう状況を打開するための、効果的なミドルシュートも少なかった。
受け手の動き出しと、出し手のタイミングのズレもあったと思う。緩急をつけたり、ダイレクトで展開したりする場面があればよかったが、選手間でイメージが噛み合っていなかったように見える。1つ2つのプレーで光るものはあったが、3つ目4つ目の動きがなく、手詰まりとなった。それが後ろ向きのパスに直結していたと思う。4人くらいでイメージを共有しないと、いいアイデアは生まれない」
確かにパスの中でもロングパスについては、サウジ67本に対し、日本は55本と下回った。シュートもサウジは8本中4本が枠内に飛んだが、日本は11本中同3本どまりだった。名良橋氏は試合内容を「消極的だった」としてこう話す。
「(4バックの)サウジアラビアが3バックに切り替えてきた。まず、そこへの対応力・修正力が足りなかったように見える。予想していなかった展開に対し、ピッチ上でどう対応するか、そのために誰がリーダーシップを取るかも、はっきりしなかった。
サッカーは相手ありきのスポーツ。森保一監督が約束事を示している中で、試合中に対応できる力を身につけないといけない。それがないと東京五輪のメダルも取れないだろう」