今オフに大型補強で球界の主役となったのがロッテだ。
ソフトバンクから福田秀平、楽天から美馬学をいずれもFAで獲得に成功。福田は残留を認めていたソフトバンクを含めて6球団の争奪戦を制し、美馬も巨人有利の下馬評をひっくり返しただけに衝撃は大きかった。
投打の柱が抜けた弱みも
FAだけではない。救援陣も一気に厚みが増した。元楽天のハーマン、広島で2016~18年までプレーし、リーグ3連覇に大きく貢献した元ブルワーズのジャクソンを補強し、守護神・益田直也につなぐ勝利の方程式が完成した。
外国人野手は昨季チームトップの32本塁打を放ったレアードが来季2年契約の2年目。昨季のシーズン途中で来日し、52試合出場で5捕殺と右翼で強肩を発揮したマーティンも残留した。打率.232だったが14本塁打と長打力もある。日本野球に慣れた今年はさらなる活躍が期待される。
ドラフトも1位で4球団が競合した大船渡の最速163キロ右腕・佐々木朗希も井口監督が当たりくじを引き当てた。
球団とすれば理想の補強戦略が実現したと言えるだろう。一方で、投打の柱も抜けた。いずれも楽天に移籍した鈴木大地と涌井秀章だ。
鈴木はFA移籍、涌井は金銭での電撃トレードと事情は違うが、共にチームの功労者と言える。選手に大きな影響を与える精神的支柱として存在感は大きかった。スポーツ紙記者はこう分析する。
「キーマンになるのは安田だと思います」
「涌井は若手の台頭で先発が確約されていない中で致し方ない決断だったと言える。ただ、(鈴木)大地の存在は本当に大きかった。内外野守れて打撃も良いし、おとなしい選手が多い中でキャプテンシーを持った貴重な選手だった。大地の穴を埋める2番として福田に期待がかかりますが、プロ9年間で一度も規定打席に到達していない。攻守で能力は高いですが計算できない部分がある。キーマンになるのは安田(尚憲)だと思います。同学年のヤクルト・村上(宗隆)のように大ブレークする可能性を秘めています」
17年ドラフト1位の安田は履正社で高校通算65本塁打を放ち、「東の清宮、西の安田」と称されるほどだった。昨季は1軍出場なしだったが、イースタン・リーグで19本塁打、82打点をマーク。116安打も含めた3部門でトップだった。サード1本で勝負する今季は30本塁打を目標に掲げている。補強した選手だけでは勝てない。生え抜きの若手成長株がレアードを押しのけて三塁の定位置をつかんだ時、05年以来15年ぶりのリーグ優勝が見えてくる。