ゴーン会見「閉め出され組」は恨み節? 翌日朝刊それぞれの報じ方

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   保釈中に海外逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が滞在先のレバノンで開いた会見では、被告側が参加可能メディアを選別し、日本メディアの多くが閉め出しを食らった。

   大手新聞社では朝日新聞が出席し、読売や毎日、産経、日経は参加できなかった。この「メディア選別」について、この5紙は翌日朝刊(東京最終版)でどう報じたのか。閉め出され組の中には、自社が参加できなかったことに触れた上で大きな見出しを立てて批判的な姿勢を示す社もあれば、自社の参加可否について触れない社もあった。

  • ゴーン被告の今後の動向に注目が集まる(2014年撮影)
    ゴーン被告の今後の動向に注目が集まる(2014年撮影)
  • ゴーン被告の今後の動向に注目が集まる(2014年撮影)

テレビ東京、小学館も出席できた

   ゴーン被告は2020年1月8日(日本時間では8日夜から9日未明)、レバノンの首都ベイルートで逃亡後初めての記者会見を開いた。参加メディアは、地元レバノンやアメリカ、イギリス、フランスなど12カ国の約60社。日本からは朝日新聞、テレビ東京、小学館(週刊ポスト・NEWSポストセブン)の3メディアが出席を認められた。

   会見で日本からの参加メディアが少ない理由について質問されたゴーン被告は、「日産と検察の言い分を検証もせず報道した」「(参加できた社・人は)客観的な見方ができると判断して選んだ」などと説明した。

   こうした「排除」に関して、9日付朝刊で3~4段の見出しを立てて報じたのは、3紙(1段の広さは社によって異なり、関係ページの同じスペース<約35センチ、広告段除く>を朝日・読売・産経は8段、毎日・日経は10段に分けている)。3紙中、自社の不参加に触れたのは読売と毎日。日経は言及しなかった。

読売「『ゴーン氏に攻撃的な記事を書いている』として拒否された」

   読売は、「出席メディア 被告側が選別」の3段見出し(第2社会面=2社)で、

「(略)日本のメディアは多くが出席できなかった。関係者によると、過去の報道内容などをチェックした上で、出席を認めるメディアを選別したという」
「読売新聞も出席を申し込んだが、『ゴーン氏に攻撃的な記事を書いている』(ゴーン被告の弁護団の一人)として拒否された。朝日新聞やテレビ東京、小学館は出席した」

と、朝日など出席メディアの名前も出して詳しく報じた。

   毎日の見出しは「記者会見 メディア選別」(4段、2社)。ゴーン被告側の弁護士の話として、レバノン国外のメディアが参加する場合は招待状が必要とされたと説明し、

「毎日新聞を含む多くの日本メディアには、この招待状が届かず、参加できなかった」

と触れた。会見中で、ゴーン被告が日本メディアの少ない理由について説明した部分も報じている。

   日経は、5段見出し(第2総合面)の脇(左横)で「日本メディア大半排除」とし、記事では自社の状況について記載しなかった。

「この日の会見は元会長側の意向により『過去に関係を築いたメディア』だけを招待する形で行われた。フランスや中東のメディアが大半を占め、日本メディアの参加は数人にとどまった」

と指摘し、ゴーン被告による会見での日本メディア批判の言葉も伝えた。

   閉め出され組の残る産経はベタ(1段、2社)で「日本メディア 大半閉め出し」と報じた。本文では

「(略)会場前では、リストを持った会見の係員の女性がそれぞれのメディアに対し、入場の可否を告げていた。日本のメディアは大半が入場できなかったもようだ」

とし、自社の状況には触れなかった。続けて、レバノン政府関係者の男性の話として、

「ゴーン被告は批判的な質問をされるのを恐れて、日本のメディアを厳しく制限したのではないか」

との見立てを伝えた。

朝日「前会長が一昨年11月に逮捕された直後から取材を申し入れてきた」

   5紙中唯一、参加できた朝日は関係の見出しは立てず、2社の記事の末尾で

「会見に参加した報道機関は、12カ国の約60社。前会長本人が参加するメディアを選んだという。朝日新聞も参加した」

と簡単に報告、さらに

「前会長が一昨年11月に逮捕された直後から取材を申し入れてきた」

と説明した。ただ、朝日のデジタル版では有料記事で「ゴーン被告会見、朝日新聞など60社参加 記者会館で」の見出し記事を配信している。

   なお、参加が認められた朝日もゴーン被告の会見に対し、厳しい見方を示している。「視点」(2社)記事で、

「疑念を払拭するまでの説得力には欠けたと言わざるを得ない」
「(略)公開の法廷で堂々と主張すべきだった」
「自身の主張に自信があるならなおのこと、なぜ正面から裁判で闘わずして海外に逃げたのか。強く疑問が残る」

と指摘していた。

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