読売と産経の論調の相違点と共通点
これに対し、安倍政権支持、原発推進の読売と産経は、趣が異なる。
読売が「日本の取り組みが他国に比べ、見劣りするのは否めない。ただ、資源小国の日本には、エネルギー源を石炭に頼らざるを得なかった事情がある。......(原発は)福島第一原発事故後に全原発が停止し、再稼働も遅れている」(12月16日)と、石炭に頼らざるを得ない実情に、後ろめたさを漂わせつつ、「安全が確認された原発の再稼働を進めて、安定電源を確保する。効率の悪い旧式の石炭火力は廃止を急ぐ。火力への依存度を着実に下げていくことが重要である」(読売16日)と、原発中心の対応を主張する。
産経は、「原発の再稼働が長期にわたって進まない状況下では、石炭火力を使わざるを得ない。エネルギー源の多様性確保は、日本国民の暮らしに欠かせない要件である。また日本が輸出する石炭火力発電所は環境性能に優れた設備だ。......日本の石炭火力技術は安価で安定した電力を供給する能力を備えている」(17日)と、政権(特に経産省)の主張に沿った指摘。
その脈絡で「COPの議論は、目的よりも手段の方に目を奪われ、石炭を悪者にして糾弾することで満足した感がある。......世界に先駆けて省エネを進めてきた日本にとって減らせる余地は少なく、26%削減は非常に高い目標なのだ。その達成には原発の復活が欠かせないことへの国際理解を得る好機でもあっただけに残念だ」(17日)と、COPの議論、また日本政府の「説明不足」への批判に力点を置く。その根底にあるのが原発で、「世界の要請に応え、先進国の一員としての責任を果たすには原発再稼働の円滑化が不可避である。安倍晋三政権の急務は、再稼働の遅れの原因の洗い出しだ」(12月2日)、「原発の再稼働や新増設の決断が必要である」(11月7日)と、繰り返し安倍政権の尻を叩いている。