日産の「新トロイカ」あっさり瓦解 「人事の不満」とルノーの影

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権力構造が複雑に...

   西川氏の後任選びを巡っては、日産生え抜きの関氏が最有力と目されていた。しかし、一転して内田氏が選ばれたのは「スナール氏の意向が働いた」という見方が強い。日商岩井(現・双日)から日産に中途入社した内田氏は、ルノーとの共同購買を担当した経験もあり、ルノーに比較的近い立場と目されている。日産とルノーにとって「扇の要」だったゴーン前会長が去った後、ルノーが日産に経営統合を迫って日産社内で反発が高まったこともあった。ルノーにとって収益面でも技術面でも不可欠な存在となった日産との良好な関係を維持するためにも、ルノーに融和的な人物が必要だったのだ。

   ナンバースリーに甘んじることになった関氏は58歳。退社が発覚した後のロイターの取材に対して「日産のために働きたいが、サラリーマン人生の最後をCEOとしてチャレンジしたい」と答えている。こうした不満を見逃さなかったのが、日本電産の永守重信会長兼CEOだ。日本電産の現社長も日産出身だが、米中貿易摩擦の狭間で日本電産の業績が急落しており、社長を交代させようと考えていた永守氏は以前から接触していた関氏に声をかけたというわけだ。

   日産は関氏に代わる取締役候補として、生産を統括する坂本秀行副社長を選び、2020年2月の臨時株主総会に内田氏と坂本氏を含む取締役選任案を諮る。当面、副COO職は空席になるという。内田氏は声明に「今後の新たな取り組みについては、CEOである私がリードし、COOのアシュワニ・グプタや新たに取締役となる坂本、他のエグゼクティブコミッティメンバーとともに進めていきます」と記し、社内外の不安払拭に心を配った。しかし、経営の透明性を高めようとしたあまり、むしろ権力構造が複雑になった日産で、内田氏が思うように改革を進められるかは見通せない。

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