「救える命」救う体制は作れるか 足りぬ児童福祉司、「質」確保しつつ「量」増やす難しさ

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政府は「増員」計画を掲げるが

   具体的な数字としては、「A市の人口が約15万人にも関わらず、A市担当児童福祉司2名体制で対応していた」「(略)当時の児童福祉法施行令では、人口4万人に1人の児童福祉司が標準とされており、国の標準を大きく上回る業務量となっていた」と触れている。その上で「提言」のひとつとして、「児相の業務執行体制の強化(人員・組織体制)を図ること」の項目を挙げている。なお、上記にある「4万人に1人」の配置標準は、一人あたりの担当ケースを減らすため、後述の政府新プラン(18年12月)で「3万人に1人」に見直されている。

   こうした児相の人出不足問題は、心愛さんの事件が起きる前から指摘されていたが、同事件について落語家の立川志らくさんが(19年)2月8日、情報番組「ひるおび!」(TBS系)で「人手が足らないとかは言い訳にならない」と指摘するなど反発する声があるのも事実だ。

   一方で、「(「招いた結果は重大で、弁解の余地はない」としつつも、)批判するだけでなく、背景にある構造問題に目を向け、そこを正さなければ、また同じことが繰り返されかねない」(朝日新聞、2月20日「社説」)として、児童福祉司の数の少なさを含めた「構造問題」に目を向ける視点もある。

   政府は事件前の2018年12月18日、「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(新プラン)をまとめていた。児童福祉司の配置については、2017年度の3235人を22年度までに5260人に2000人以上増やすとしている。うち半分(約1000人分)を19年度に前倒しして、地方交付税措置をとった。厚労省の公開データで児童福祉司の最近の配置状況(全国)をみると、2017年度は3235人、18年度は3426人、19年度(4月1日時点、任用予定含む)は3817人となっている。20年度(4月1日時点)の数字がどこまで増えるか注目される。

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