SNS社会にどう付き合うべき?
しかし、芸能人といえどもプライベートがあり、ある程度自身の趣味などをネットにつづる自由もあるのではないだろうか。たとえ実際は無関係でも恋愛を匂わせる要素は控えるというように、ファンが思う理想の姿を演じていなければならないのだろうか。これはネットでタレントのオフの様子も見られるようになり、ファンが24時間推しとつながっている擬似感覚を得られるようになったネット社会特有のジレンマかもしれない。
ネット史に詳しい井上氏は、こうした状況を背景に、ここ10年来の芸能人SNSのあり方が変わるかもしれないと推測する。芸能人ブログが始まったのは00年代中盤からだが、もととは「高嶺の花」のタレントに、身近で「等身大」的なイメージをもたらす効果もあった。しかしタレントを神聖視する一部の過激なファンは減るよりもむしろ行動が先鋭化しており、その一例が匂わせなのでは、とのことだ。
「『アイドル純潔主義』を捨てられず、恋愛要素に過敏になるファンは少なくないようです」と井上氏は指摘する。炎上を恐れてSNS・ブログでも日常の投稿を控えめにし、オフィシャルな情報発信にとどめるアカウントも既にあり、アイドルとネットの接し方が変わる可能性があるとしている。また井上氏は「匂わせ」のような炎上はファン側の問題でもあると指摘、「寛大」な態度も求めている。
「芸能人がファンに見せる投稿はすべてその人の素の姿ではなく、ある程度『やらせ』『プロレス』のような投稿をしています。一方でネットというバーチャルな空間ではファンは、与えられた情報から理想的なタレント像を妄想し、夢中になりやすい環境があります。妄想のタレント像が裏切られた!と思えば炎上が発生しますが、それよりもタレントの事情を理解し、彼らを受け入れようという姿勢の方が、ネット上でのストレスも減るのではないでしょうか」(井上氏)
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)