スペースジェット「6度目の延期」も現実味 前向き会見もむしろ「厳しさ」浮き彫り

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   国産初のジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」の納入がまた遅れるおそれが出てきた。

   同機を開発する三菱航空機は2019年12月20日、名古屋市で開発の進捗状況を説明する記者会見を開き、2020年半ばを予定している初号機の納入時期について、水谷久和社長が「依然として厳しい状況であることに変わりない」と述べ、ギリギリの状況にあることをにおわせた。関係者からは「6度目の納入延期は不可避では」との声も漏れ聞こえる。

  • 無事に「離陸」できるか(プレスリリースより)
    無事に「離陸」できるか(プレスリリースより)
  • 無事に「離陸」できるか(プレスリリースより)

10月の会見から「後退」

   スペースジェットは当初、2013年に全日本空輸(ANA)への納入を目指していたが、開発遅れでこれまで5回にわたり納入時期を延期している。現在は運航に必要な「型式証明」と呼ばれる航空当局の認証取得に向け、米国で国土交通省のパイロットが乗り込んでの飛行試験を実施中。これまでに3000時間以上の試験が終了し、一般的に型式証明取得に必要とされる2500時間を突破した。当初は国土交通省や米連邦航空局(FAA)などから、2019年のうちに型式証明取得を目指す意向を示していたが、そのスケジュールは頓挫したことになる。

   取得遅れの要因は、新設計の試験機(10号機)の完成遅れだ。10号機は飛行制御機器の配置変更などの設計変更をしたうえで、2019年秋から飛行試験を始める予定だったが、いまだ完成のメドが立っていない。親会社である三菱重工業の泉沢清次社長は10月下旬の記者会見で「(2020年の)年明けには飛ばしたい」とコメントをしたが、水谷社長は12月20日の会見で「スケジュール全体を見直している中で、10号機をいつ出せるかについても言える状況にはない」と説明し、後退してしまった。

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