「僕らは特別扱いを求めているのではない」――バス「乗車拒否」の車いす男性は、「クレーマー」の声に何を思う

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対応に動き始めたバス会社。しかしジレンマも

   帝産湖南交通も、7月の一件を受けて改善に乗り出していた。J-CASTニュースの12月23日の取材に応じた同社担当者は、「ノンステップ・ワンステップバス時刻表は(実態に合ったものに)新しくしました。見やすくなっていると思います」と話す。あくまで「固定できる低床バスのダイヤを増やした」といい、同時刻表に書かれていない便でも低床バスの可能性がある。

   ウェブサイト上で時刻表が閲覧できるシステムづくりにも着手している。ダイヤの変更にも即時に対応できるようにするため「専門業者に依頼している」といい、「時間はかかりますが、対応は進めています」と話す。

   運転士教育も見直した。

「今までは『安全確保』が最大の判断基準。乗務員(運転士)が車いす利用者を乗せるのは危険だと判断すれば、そこでもうお断りしていました。車いすの方の乗車スペースに他のお客様がすでにいて塞がっている場合などです。

しかし7月の問題を受けて、どんなタイミングでも、まず無条件に乗っていただける努力をするよう義務付けました。他のお客様に声をかけてスペースを空けるようにする。それでも空かない場合は、車いす利用者にもその状況を見ていただければご理解いただけると思っております。乗務員だけで無理だという判断をせず、まず乗っていただくことを前提に行動し、最大限努力する。それでもトラブルのようなことが起きれば、一度慌てず会社に連絡するようにと指導しています」(担当者)

   ジレンマもある。「安全面に関して、乗務員が運転席を離れ、車いす利用者の対応に時間を使うあまり『誰かに運転席が乗っ取られるようなことがあったらどうするんだ』とお叱りを受けたこともあります。簡単にバスジャックされないかと」。担当者は「まだ完全なバリアフリーのためには改善点があります」と頭を悩ませる。

   それでも「7月の問題が起きないことには、当社もこうした改善点に気付くことができませんでした。今まで、車いすの方々に諦めていただいていたのだと思います」と、意識の変化が起きている。担当者によれば、全国での同様の事例の情報収集に努め、他社の対応も参考にしながら、引き続きさまざまな点で改善を検討していく。また、大津市の障害者団体とも議論の場を設けており、互いに問題提起ができる環境をめざしている。

「お互いに、乗りやすい、走りやすい環境を作っていければ。細かい点で不具合もあるでしょうし、教えてもらえば改善したい。逆に当社で対応が困難なケースがあったとしても、丁寧に説明することで、理解してもらえることもあるでしょう」(担当者)
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