「私の真心からの進言であり、中曽根首相や自民党の友人に対し好意的な発言である」
内容は次のとおりで、A級戦犯の合祀(ごうし)を特に問題視し、参拝を強行すれば、国内的な説得が難しくなることを訴えている。
(引用ここから)
重要なことはほかでもなく、そこに戦犯が祭ってあることである。戦犯がいなければなにも問題はない。戦犯を祭ってある以上、これは一国の内政問題ではなくなり、一国の首脳が公式に世界公認の戦犯を参拝するならば、必ず全世界の関心をひく。
かつて中国のマスコミは、この行為は中国人民の感情をきずつけると主張したが、その見方も不完全である。この行為は又、日本政府の国際的イメージをそこなうものである。私はお国の政府の人びとが考えるべき核心問題はまさにこの点であると思う。日本の国政的イメージは日本人が自分で判断するのではなく、他の国ぐにの人びとの日本に対する印象によって決まるのである。
政府の首脳、閣僚が、かつて中国やその他の国で犯罪行為を行った戦犯を崇拝したら、世界にどのような印象を与えるであろうか。みなは彼が今なお戦犯をしのび、その行為を賛美しているという印象を受けるであろう。少なくても彼らが善悪の区別もつけられないと思うであろう。従って、中曽根さんの友達として忠告したい。近年来貴国の世界におけるイメージは基本的に良いと言える。平和なイメージ、自国の発展に努力しているイメージ、科学の発展に努力しているイメージである。せっかく良いイメージをつくり上げてきたのに、このような小さな事でそれを台なしにしてもらいたくない。現在世界には、まだ多くの国が日本の軍国主義復活を警戒している。私が貴国を訪問する前、中国でも多くの人が日本は軍国主義の道を進むのではないかと疑っていた。訪日後、私は800人の幹部大会をひらき、説明をし、その後疑う人は減少した。しかし世界の他の国では今でも疑いをもっている。ソ連、東ヨーロッパの四億人は疑っている。そのため貴国が若干年内に大規模な国防力拡張をしないことは大変賢明なことである。しかし、もしここで政府閣僚が、国防力の大幅な増強を求め、教科書の改ざんをし、その上靖国参拝までやるとどうなるであろう。ソ連等は手をたたいて喜び、それみたことかと、日本軍国主義復活論をまきちらすであろう。中国もそのような事態が起きることを望まない。中国の多くの青年も同じ疑いを抱いている。
私共はこれまで彼らを説得してきたが、これ以上事態が進展すると、もう説得はできなくなる。中曽根首相の靖国公式参拝は、中国やアジアの国ぐにの国民感情を傷つけることより、日本のイメージを傷つける結果になる。以上は私の真心からの進言であり、中曽根首相や自民党の友人に対し好意的な発言である。その他の下心はなにもない。
(引用ここまで)