「立ち合いに昔のようなスピード、圧力が...」
白鵬は2020年になっても「かち上げ」、「張り手」を使い続けるのだろうか。ここ2年、白鵬は体力的な衰えを隠せないでいる。2018年は途中休場と全休を2度ずつ経験し、15日間土俵を全うしたのはわずか2場所だけ。優勝は9月場所の1度にとどまった。19年は2度の優勝を果たしたものの、途中休場2度、全休1度で満身創痍の土俵が続いた。若いころから白鵬をよく知る元親方は白鵬の置かれる状況について次のように話した。
「年齢的なこともあり、全体的に力が衰えているのは否めない。立ち合いに昔のようなスピード、圧力が見られなくなった。小柄の力士に簡単に懐に入られる場面もみられるようになり、立ち合いで少しでも優位に立つためにかち上げや張り手を使わざるを得ない状態なのでしょう。年齢的にもいつ引退してもおかしくない。ルールで禁止されているわけではありませんし、最後までこのスタイルを貫くと思います」
角界関係者のなかには、白鵬の「かち上げ」よりも、これに対応しきれない力士の技量を問題視する向きもある。ただ遠藤との一番で見せた「かち上げ」は、本来の相撲の技とはかけはなれた「肘打ち」のようでもある。度重なる横綱審議委員会からの苦言に耳を貸す様子がみられない白鵬。前人未到の50回の優勝を目標に掲げる平成の大横綱は、2020年もなりふり構わず力ずくで記録を塗り替えていくのだろうか。