24時間営業や休日、店側の一律対応を見直し
そもそも、コンビニ店が飽和状態になりつつあることは、2017年から指摘されていた。東レ経営研究所のチーフアナリスト(産業調査担当)、永井知美氏は「コンビニ業界の現状と課題 ~業界再編で寡占化進展、国内5 万店時代をどう乗り切るか~」(17年7月)で、
「コンビニは百貨店の衰退、スーパーの伸び悩みを尻目に成長を続けてきたが、店舗数が飽和点とされた5万店をはるかに上回る約5.5万店に達して、既存店売上高の伸び率は勢いを失っている」
と指摘していた。
コンビニは、セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンの3社で、国内シェアの9割を占める寡占状態だ。それにもかかわらず、セブン-イレブンの国内店舗数は、2017年までの過去5年で約5000店も増えている。
「都内などは、同じコンビニ同士でお客の奪い合いが起こっているエリアもある」(業界関係者)との声もあり、仮に人手があったとしても利益がとれない店舗も出ているという。
そうしたなか、経済産業省が設置した「新たなコンビニのあり方検討会」が12月23日、報告書の骨子を公表。24時間営業や休日について、店側に一律に対応させることを見直し、店の事情に応じて柔軟に認めるよう、コンビニ各社に促した。
これに対して、ローソンが人手不足への対応や働き方改革の一環として、大みそかから1月2日にかけて、オフィス街などを中心に合わせて102店舗で休業する実証実験を行う。セブン-イレブン・ジャパンも、元日を中心に首都圏のおよそ50の直営店で休業することを明らかにしている。
一方、同じセブン&アイ・ホールディングス傘下のスーパー、イトーヨーカドーとヨークマートも約50か店で初めて元日を休業。ただ、高島屋や大丸などの百貨店が元日休業とするなか、西武・そごうは1日から初売りする。そごうに勤める従業員は、「(元日営業について)他社は閉めているので、多くの来店客が見込めるとの話が店長からあった」と話している。
「働き方改革」への意識が薄いのは、親会社であるセブン&アイHDなのかもしれない。