廃駅の「今」と渋谷の行く末は?
これらの廃駅は銀座線のトンネルの中に残され、資材置き場や車両留置に使われているが、よほど気を付けていないと気づかない。旧万世橋駅は末広町駅から渋谷方面に電車が走ると、線路の間の支柱が途切れる区間に進む。そこに万世橋駅の遺構が残っているが一瞬で通り過ぎてしまう。東京高速鉄道の旧新橋駅は、虎ノ門駅から浅草方面の電車に乗ると、新橋駅直前で線路が分岐するその先に眠っている。駅自体は車窓から直接見ることはできないが、運転席の後方で前面の景色を見ていれば、分岐した線路の先、現行の線路よりやや高いところに駅が見えるのが確認できる。
旧表参道駅は現表参道駅から渋谷方面のトンネルに入ってすぐのところに、狭いホームや柱の跡が残っている。電車のスピードはあまり出ていないので前面展望、つまり運転席の真後ろからなどでなくても、目を凝らすと車内から柱やホームの壁の跡を何とか視認できる。
では12月27日限りの現渋谷駅はどうなるか、というと、北側の乗車ホームは閉鎖されるが、南側の降車ホームは当面、新ホームへの通路として使われるという告知が駅周辺に掲示されている。新ホームは現在の駅から宮益坂のトンネルに入る間の橋脚上にできるので駅全体が東に移動するが、JR・京王側から新ホームへの導線として機能を発揮しそうだ。
ただ、現渋谷駅のホーム直上の東急東横店も2020年3月末で営業終了後解体・再開発の方針が決まっているため、長い目で見るとホームと線路がどうなるかは不透明でもある。駅としては1938年の開業以来81年の歴史を終えるが、他の用途に転用されたり、旧新橋駅のように知る人ぞ知るスポットとして残されたりする可能性もあるだろう。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)