「どう転んでも負担が増える話になる」
そもそも中間報告は、子どもから高齢者まで「全世代型社会保障」の看板に反して、高齢者問題に集中した。2019年の出生数は87万人を下回り、過去最少を更新する見込みで、待機児童は4月時点でなお1万6772人にのぼり、政府が目指す21年春の解消に赤信号が点滅するなど、少子化対策は急務なのに、具体的な施策項目には少子化対策は盛り込まれなかった。
安倍首相は「全世代型社会保障」を政権のレガシー(政治的遺産)としても位置付けているという。「社会保障の議論は、安心のために必要とはいえ、どう転んでも負担が増える話になる」(財務省関係者)。その限りで、今回の中間報告にも国民に一定の痛みも求める項目もある。ただ、安倍首相が7月、消費税について「(10月の引き上げ後)10年間ぐらい上げる必要はない」と言い切ってしまった手前、「端(はな)から消費税なしの社会保障改革では、できることは限られる」(大手紙経済部編集委員)。
2020年夏の最終報告に向け、どこまで大きな絵を描けるか。