社会保障の難問に切り込んだ?腰砕け? 政府が中間報告

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   政府の「全世代型社会保障検討会議」(議長・安倍晋三首相)が2019年12月19日、中間報告をまとめた。75歳以上の後期高齢者の医療費の自己負担増や年金、雇用制度の見直しなどが柱で、少子化対策など中間報告に施策が盛り込まれなかったテーマを含め、20年夏に最終報告をまとめる。できることから、年明けの通常国会以降、順次、関連法案を提出する。

   第2次安倍政権はアベノミクスの「3本の矢」に始まり、「地方創生」「1億総活躍」「女性活躍」「働き方改革」などのスローガンを次々に掲げ、求心力の維持に努めてきた。「全世代型社会保障」もその一つではあるが、過去のテーマを集約する部分もあり、何よりこのままでは社会保障制度が持続不可能になるという厳しい現実もあり、他のテーマ以上に切実といえる。

  • 社会保障をめぐる厳しい現実にどう立ち向かうのか(画像はイメージ)
    社会保障をめぐる厳しい現実にどう立ち向かうのか(画像はイメージ)
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後期高齢者の医療費自己負担の着地点

   いうまでもなく、最大の問題は少子高齢化の進展だ。社会保障費はベビーブームで生まれた「団塊の世代」が75歳以上になり始める2022年から一段と急増し、国の試算では、18年度の約121兆円が、25年度には約141兆円に、65歳以上の人口がほぼピークを迎える40年度には約190兆円に膨らむ。この間、未婚率の上昇で40年に単身世帯が4割に増加すると推計され、しかも、就職氷河期世代の団塊ジュニアは非正規やパートで働く人が多く、その世代が高齢期を迎え、生活保護受給者が増える心配もある。こうした事情で、国の借金が膨らみ、年金や医療で現役世代の負担が増えるのは必至とあって、改革が待ったなしなのだ。

   そこで、中間報告が謳ったのが「現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築する」。具体的には医療、年金、雇用が中心だが、注目されたのは、後期高齢者の医療費の自己負担と、年金支給額の年収による減額(在職老齢年金)、短時間労働者の厚生年金への加入義務づけの企業規模要件の見直しだった。

   中でも最大の焦点は後期高齢者の医療費自己負担。現在、医療費の自己負担(窓口負担)は、70歳未満は3割、70~74歳が2割、後期高齢者は原則として1割。75歳以上でも現役並み所得(単身世帯の場合は年収383万円以上)があれば3割負担だが、それ未満は一律1割負担で、2割の人はいない。そこで、現役並み所得までいかないまでも一定以上の所得がある人は2割負担に引き上げることにした。2020年夏までに厚労省の社会保障審議会で、その所得層を決める。

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