配車アプリ「DiDi(ディディ)」でタクシーを呼んだところ、違う客を乗せて行ってしまった――。利用者がツイッターでこんな不満を訴え、関心を集めている。
タクシー利用者の確認が不十分だった形で、DiDi側は、詳細は事実確認中だが、トラブルを認識して返金手続きの準備をしていると説明した。
乗った客は、料金を支払わずに降りた可能性
「タクシー呼んで寒い中ずっと待ってたのに、そのタクシー全然違うカップル乗せてホテル行ったんだけど」
アプリを利用した「はまお」さん(@Hamao_high)は、2019年12月22日にツイッターでこう切り出した。遠くから乗り込むのを見て、「降ろされるだろう」と思ったが、発車してしまったという。
ホテルに行ったことは、アプリの位置情報でリアルタイムに分かったという。タクシー代は、「はまお」さんのクレジットカードから引き落とされており、「なんで私が知らんカップルのホテル移動代出さなきゃいけないの?」と訴えた。アプリのバグかなどとも考えたため、途中でキャンセルできなかったという。
乗った客は、料金を支払わずに降りた可能性があり、このことも問題だと指摘した。一方で、タクシーに乗らなかった証拠はアプリにあるため、タクシー代は返金されるはずだとしている。
アプリを運営するDiDiモビリティジャパンは、ソフトバンクと中国の配車サービス大手の滴滴出行との合弁会社として、18年6月に設立された。人工知能(AI)を利用したサービスが特徴で、日本では中国人観光客の多い大阪からスタートした。現在は、全国の主要都市でタクシーの配車を行っている。
利用者の本人確認が不十分だった
「はまお」さんは、これまでもDiDiを使っていたが、自分の名前やその行き先を言わせるなどして本人確認をされたことはないという。タクシーには、DiDiと表示されているため、今回のようなことをしようと思えばできてしまうと疑問を呈している。
「はまお」さんは12月25日、DiDi側にクレームを入れた結果、謝罪のダイレクトメッセージがツイッターに来たとしたうえで、「今回の事件を踏まえて、DIDIが対応、改善してくれれば、それでいいのかなと思います」とJ-CASTニュースの取材にコメントした。
アプリでは、「注文一覧」に証拠があったとし、「私が自宅を行き先にして予約をしているのに、タクシーは全然違うホテルへ送迎したという記録が残っています その後もう一度タクシーを呼んだ記録も残ってます」と説明した。
当時については、雪が降っていたので、タクシーを呼んだ場所から少し離れた、屋根のあるところで待機していたという。
「はまお」さんの訴えについて、DiDiモビリティジャパンの広報担当者は24日、取材にこうコメントした。
「細かい現場の状況については現在事実確認中のためお答えできかねますが、このようなことがトラブルがあったことは弊社で認識および確認ができており、弊社のTwitterアカウントから、はまお様に返金手続きのご連絡を準備しています」
さらに、25日夜になって、取材への公式な回答を寄せ、DiDiがカップルについて刑事告訴するかについては、こう述べた。
カップルの刑事告訴、「対応は決定していない」
「詳細の事実確認は現在調整中です、具体的な対応は決定しておりません」
また、トラブルを防ぐための利用者の本人確認については、こう答えた。
「日頃からタクシー会社様と共に、オペレーションの改善を取り組んでおりますが、同様の事象は頻繁ではございませんが、発生することがございます。タクシー乗務員の皆さまにはお客様がご乗車の際に必ずお名前をご確認いただくよう呼びかけておりますが、確認を忘れてしまったり、お名前を聞き間違えてしまったりというミスが起きてしまったのだと認識しています。今後同じようなことが起きないよう、2020年早々にアプリ上で乗せ間違い防止機能を導入してまいります。詳細は準備ができ次第発表させていただきます」
アプリの注文一覧については、こう説明する。
「DiDiアプリでは、お客様が配車した各タクシーの注文一覧を確認いただけます。注文一覧では配車した日時、乗車および降車場所、料金、また配車したタクシーの乗務員の名前、事業者名、車種、およびナンバープレート情報を確認いただけます」
利用者から抗議があった場合の対応については、こう答えた。
「今回は、Twitterでの投稿で乗り間違えが発生したことを確認いたしました。
なお、こうしたトラブルに関しては、お客様から弊社のカスタマーサポートにご連絡をいただければ、事実確認の上ですぐに対応をさせていただきます。(24時間・365日対応)現在、ご迷惑をおかけしたお客様には、返金の対応の手続きをさせていただくよう、個別にご連絡しております」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)