住宅部門とのシナジー狙うが、肝心の...
そのヤマダ電機は業界首位を死守しているものの、アマゾン・ドットコムなどのインターネット通販が台頭する中で、家電量販店そのもののマーケットが縮小している。そこで家電販売と相乗効果が期待できる住宅関連に事業を拡大しようと、東証1部に上場していた注文住宅のエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)を2011年に買収。ヤマダ電機の店内に住宅販売の拠点を設けて提携の効果を出そうとしたが、住宅部門の業績は見込んだほどは伸びていない。
そんなヤマダ電機が大塚家具を取り込むとどうなるのか。国内直営店だけで950店を超えるヤマダ電機の店舗網に大塚家具の商品を置けば、販路はそれなりに広がるだろう。だが、それだけではイケアやニトリ、インターネット通販との厳しい戦いが挽回できるとは考えにくい。久美子社長が述べたような「家電と家具の枠を越えた生活提案」の具体策はまだ示されていない。
山田会長は久美子社長について「チャンスを与えないといけない」と述べ、大塚家具に来期の黒字転換を求めた。4年間で果たせなかった経営立て直しが、ヤマダ電機の傘下に入れば実現するのだろうか。両社が置かれた厳しい競争環境と対照的に、こうした「ゆるさ」を感じてしまう記者会見だった。