オウム事件「若い世代に伝えたい」 公安調査庁、YouTube発信開始に込めた思いを担当者が語った

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   オウム真理教による地下鉄サリン事件は、発生から2020年でちょうど四半世紀を迎える。この機にYouTube上で公開された動画に、インターネット上で反響が広がっている。

   制作したのは、公共の安全確保を任務とする法務省の外局、公安調査庁だ。19年12月19日に公開し、公式ツイッターでも紹介すると1日で7000回以上リツイート。動画制作に関わった同庁広報は「若い世代に伝えたい」と思いを明かした。

  • 公安調査庁がYouTubeに公開した動画より
    公安調査庁がYouTubeに公開した動画より
  • 公安調査庁がYouTubeに公開した動画より

「事件の風化を防ぎたい」

   「あのテロ事件から四半世紀~今も変わらないオウム真理教~」と題された動画は、約3分の内容。95年3月20日に都内で発生した地下鉄サリン事件について、当時の映像とともに「史上類を見ない無差別テロ」とし、オウム真理教の概要説明が入る。松本サリン事件や、数々の殺人事件を起こし、教祖・麻原彰晃ら13人が18年7月に死刑執行されることまで一気に伝える。そして最後の約1分は、いま現在も名前や形を変えてオウムの影響が残り続けていることを強調した。動画は日本語字幕版、字幕なし版、英語字幕版と3種類ある。

   公安調査庁は国内外のテロリズムなどに関する情報収集・分析に取り組んでいる。オウム真理教への観察処分は現在も続く。

   地下鉄サリン事件から間もなく25年という節目を迎えるとはいえ、同庁がYouTubeを活用して動画による情報発信を行うのは異例だ。YouTubeチャンネル自体、12月11日に開設したばかり。最初の投稿は同庁そのものの紹介動画で、2~4本目が今回のオウム事件の動画だった。

   動画制作に関わる公安調査庁の広報担当は20日、J-CASTニュースの取材に「時の経過とともに、若い世代で地下鉄サリン事件やオウム真理教そのものを知らない方々が増えています。事件の風化を防ぎたいと思いました。事件の内容も、活動が今なお続いていることも、すべて事実関係にもとづいて動画を作成しています」と話す。

「若い世代に見てもらうためにYouTubeという場所を選びました。まず字幕なしの動画を考えましたが、たとえば電車内で動画を(音声無しで)見ても内容が伝わるように日本語字幕版も作りました。英語字幕版は外国の方が見ても伝わればと思いました。少しでも多くの人の目に触れるようにと思っています」(広報)

「多くの被害者がいますし、苦しんでいる方もたくさんいます」

   伝えたかった1つのポイントは「事件当時の信徒が今も残って活動している」ということだ。

「昔から、どうしても忘れ去られてしまう事件はあります。その中で地下鉄サリン事件は来年が節目の年で、もう一度伝えようという思いがありました。多くの被害者がいますし、苦しんでいる方もたくさんいます。賠償も進んでいません。まだ終わっていない問題です」(同)

   そもそもYouTubeチャンネルを開設したのが、このオウム事件の動画をアップするためだった。初投稿となった約1分の動画は、公安調査庁の活動内容を概説したもので、具体的な事件などには触れていない。「初の試みということで、問題なくアップできるかどうか心配だった」(広報)ため、試運転した。本格運用はこの19日の動画からだ。

   ツイッター上では動画に対し、

「そうか、知らない世代も多いのか...これは拡散希望、よろしくお願いします」
「もう四半世紀か」
「僕はこの事件のことを幼稚園の年長?くらいに知ったけどその時はよくわからなかったなぁ、、、」

といった声があがっている。事件について改めて考えるきっかけとなっているようだ。

   広報は「まだ公開したばかりなのでこれからだと思いますが、反響の度合いを見ながら、効果をあげているならば、今後も動画を作り続けていくことを検討しなければいけないと思います」と話している。

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