「ジャーナリストとしてどうなのかと、私は問いたいです」
返答を受けて小川氏は、カルテの点を再質問した。
「カルテの閲覧制限は住所等のみだということですが、すると全てのカルテについて、医師の診断部分は公に論じたり引用したりしていいと考えてよろしいですか? 医療的な部分です。閲覧制限がかかっているので、私も引用に気を使いました。もちろん私は個人情報を公に出すことはしません」
同席していた村田弁護士が「裁判所で閲覧制限がかかっていない部分であれば結構です」と答えると、伊藤さんは「この際ですから」として、小川氏の一連の記事について見解を述べる。
「第1回で書かれた記事で、下着についてご自身で書かれたことも覚えていらっしゃると思います。(編注:書かれたブランドやタイプを説明)。当時、私はすぐにすべての下着を洗ってしまったのでどの下着か分からなくて、3つの黒い下着を警察に出しています。
私は、女性として下着は公開したくなかったです。それを公にされるというのは、色々とお考えになってから書かれてほしい。それが公共に意味があることなのか。私はあなたから一切取材を受けていないです。そうした中で一方的に書かれるのはどうなのか。ジャーナリストとしてどうなのかと、私は問いたいです」
逆質問のような形となった。伊藤氏の話の途中、小川氏は「はい、もちろん」と相づちを打った。現場にいた別の記者が「何が『もちろん』だ」と言う声が聞こえた。
小川氏は「それで」とさらに質問しようとしたが、伊藤氏は「ごめんなさい、私はここであなたと会話するために来ているのではありません。他に質問ある方は?」と目線を小川氏から外した。
小川氏は踵を返して立ち去ろうとした。伊藤氏は「帰っちゃうんですね」と一言述べた。別の記者から「帰らないでください」「恥ずかしいんですか?」といった指摘が飛んだ。小川氏は「いや恥ずかしくないよ」と言って、同じ最前列にとどまった。現場にはザッと40~50人の国内外の記者が詰めかけていた。