タカラトミーはダイキャスト製ミニカー「トミカ」の発売50周年を記念し、「トミカ50周年記念コレクション」を2019年12月1日に発売した。「1970年に発売した初代のトミカ6車種を、現在のトミカに合わせた仕様・金型で再現した」という。
発売したのは、日産ブルーバード SSS クーペ▽トヨタ コロナマークIIハードトップ▽トヨタクラウン スーパーデラックス▽トヨタクラウン パトロールカー▽トヨタ2000GT▽日産 フェアレディZ 432。サスペンション付きで、左右のドアが開閉する。
トヨタと日産だけ、その理由は...
内訳はトヨタ4車種、日産2車種で、ホンダなど他メーカーはない。高度経済成長の真っただ中にあった1970年当時はトヨタ、日産がライバルとして拮抗しており、スポーツカーやスポーツセダンが人気だったことをうかがわせる。
このうち、日産ブルーバードSSS クーペは「510型」と呼ばれる名車で、歴代ブルーバードの中でも傑出した存在だ。SSSは「スーパースポーツセダン」を意味する。ライバルだったトヨタがコロナの派生モデルとして、スポーティーで豪華なマークIIを発売したのは、ブルーバードSSSに対抗する狙いがあった。
トヨタ2000GTはトヨタがヤマハ発動機と共同開発した少量生産のスポーツカーだが、商業的には成功しなかった。映画「007」の「ボンドカー」に日本車として初めて採用されるなど、話題を呼んだが、「価格が238万円と、当時の高級車クラウンの約2倍で、簡単に手を出せる金額ではなかった」(トヨタ関係者)こともあり、販売は振るわず、今となっては「幻のクルマ」に近い。
これに対して、日産フェアレディZは、日本はもちろん北米で人気となり、スポーツカーとしては世界的なベストセラーとなった。その中でも「Z 432」は「日産スカイライン2000GT-R」と並び、日産のレーシングカーのエンジンを市販車に移植した名車として知られる。今も熱心なオーナーが所有する初代フェアレディZを街で見かけることがある。
「外国製ミニカー」全盛の中で...
タカラトミーによると、同社がトミカを発売した1970年当時は「外国製のミニカーが全盛で国産車のミニカーを求めるお客様の声が高まっていた」という。「当時、『日本の子どもたちに、もっと身近な国産車のミニカーで遊んでもらいたい』という思いのもと、日本初の手のひらサイズのミニカーとして発売したのがトミカだった」
トミカは2019年4月までに累計1020種以上の車種が発売され、累計販売台数は6億5500万台を超えたという。
50周年記念6車種の希望小売価格は700円(税抜き)。全国の玩具専門店や百貨店のほか、タカラトミーの公式ショッピングサイト「タカラトミーモール」でも発売している。
もっとも、50周年の記念モデルを購入するのは、現代の子どもたちでなく、1970年当時を懐かしむ50代半ば以上のオジサンたちに違いない。同社は2020年の50周年「本番」に向け、さらなる記念モデルの発売やイベントを計画中というが、より細部にこだわったプレミアムモデルにも需要があるかも――。