2019年11月30日に開業した相鉄・JR直通線で賑わっている鉄道界だが、関西ではJR西日本「WEST EXPRESS銀河」や近畿日本鉄道「ひのとり」の誕生が話題となっている。
今回は両車の概要をまとめた上で、その共通点について考えてみたい。
関西と出雲・下関を結ぶJR西日本「WEST EXPRESS銀河」
JR西日本は11月20日、117系改造の長距離列車「WEST EXPRESS銀河」の概要を発表した。編成は6両で構成され、1号車はグリーン車、2・3・5号車は普通車、4号車はフリースペース、6号車はグリーン車となる。
「WEST EXPRESS銀河」の特徴は車内レイアウトの多様性だ。2・5号車には寝台特急「サンライズエクスプレス」にある「ノビノビ座席」と類似したフルフラットシートを採用。6号車はグリーン個室となり、上質なプライベート空間での旅行が楽しめる。フリースペースとなる4号車はボックス席や着席スペースがあり、イベント対応のカウンターも設置される。
予定では2020年5月~9月は夜行特急列車として京都・大阪~出雲市間、2020年10月~2021年3月は昼行特急列車として大阪~下関間で運行される。列車本数は週2往復程度だ。気になる料金は現行の特急料金とグリーン料金を適用。グリーン個室は新料金「グリーン個室料金」が設定される。また、長時間停車する駅では特産物の販売や伝統芸能の披露が行われるという。
バックシェルがウリな近鉄「ひのとり」
一方、関西私鉄で注目を集めているのが2020年3月にデビューする近鉄特急「ひのとり」だ。「ひのとり」は大阪難波~近鉄名古屋を結ぶ名阪特急を中心に活躍する予定。
同車の内装で注目を集めているのがリクライニングシートを覆う「バックシェル」だ。後部座席を気にせずリクライニングできる「バックシェル」付きシートは普通車にあたる「レギュラー車両」でも採用される。
料金は大阪難波~近鉄名古屋間でレギュラー車両が4540円、プレミアム車両は5240円。新たに追加される「ひのとり特別料金」を加味しても、東海道新幹線と比べると割安な価格設定だ。
お手頃さとクオリティーの高さを両立
関西を起点とする「WEST EXPRESS銀河」「ひのとり」の共通点を見出すとすればお手頃価格でクオリティーの高い車両に乗れる点だ。関西では伝統的に割安な価格で豪華車両の旅が楽しめる。たとえば、車内にテレビを取り付けた京阪特急「テレビカー」は特別料金不要だった。1950年代に誕生した近鉄の2階建て特急「ビスタカー」は人々をアッと驚かせた。
そのように考えると「WEST EXPRESS銀河」と「ひのとり」は関西の鉄道文化を忠実に受け継ぐ車両と言える。関西在住の私としては早く全国の鉄道ファンが「WEST EXPRESS銀河」「ひのとり」に乗って驚くシーンを見たい。
(フリーライター 新田浩之)