「曙・貴乃花時代」から朝青龍「一強時代」へ
幕内優勝回数をみると、曙は11回、貴乃花は22回と、白鵬の43回には遠く及ばない。この事実は、同時期に強力なライバルが存在したことを物語っている。曙が横綱に昇進した1993年1月から98年までの6年間で、曙と貴乃花以外で賜杯を手にした力士はわずか4人だけしか存在しない。
当時は大関以下にも実力者が顔を揃えていた。若乃花(98年5月場所後に横綱昇進)、貴ノ浪、武蔵丸(99年5月場所後に横綱昇進)ら大関陣をはじめとし、後に大関となる魁皇、武双山らが番付上位にいた。さらに二子山部屋には、貴闘力、安芸乃島らがおり、曙にとっては二子山部屋勢との戦いでもあった。現在の角界と単純比較は出来ないが、当時は上位陣を脅かす多くの実力者が存在していた。
2000年に入り、「曙・貴乃花時代」が終焉を迎えると、朝青龍の「一強時代」が幕を開ける。朝青龍は2002年九州場所で幕内初優勝を飾ると、優勝争いの常連となり、04年から05年にかけて12場所中11度の優勝を果たしている。そのうち4度が全勝優勝で、05年の年間6場所制覇は史上初の偉業だった。