「公的病院再編」大反発招いた厚労省の読み違い とはいえ見直しは避けられない

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「体面にこだわらず、各地の実情をふまえた再編・統廃合」

   医療は国民の関心も強く、大手紙はこの問題を社説で取り上げている。

   「人口の減少や高齢化といった社会の変化に応じ、病院のベッド数や機能を見直すことは避けられない。勤務医の過重労働が当たり前になっている医療現場の現状を改めるためにも、地域の医療提供体制を再構築することは待ったなしである」(朝日11月4日)、「公立病院の経営は厳しく、6割は赤字だ。自治体財政の観点からも、見直しは避けられまい」(読売10月13日)など、病床削減、病院再編の方向性は、各紙、共通して認めるところだ。

   厚労省の唐突なリスト公表については、「地域住民には寝耳に水で、不安が広がるのも無理はない。病院を利用する側にとっては、信頼のおける病院が身近にあるかどうかが重要である。......丁寧さを欠く姿勢では政策意図も伝わるまい」(産経11月10日)など、厳しい批判が並ぶ。

   特に、「公」の再編ばかりを持ち出した格好のため、「全国の病院は約8000カ所あるが、約7割は民間病院だ。民間病院の経営にむやみに介入するわけにもいかないため、公立病院など、手を付けやすいところから進める形だ。医療提供体制にゆがみを広げることにならないだろうか。......民間病院と併せて、地域の医療体制のありかたを検討すべきだ」(毎日9月29日)と、民間を巻き込んだ議論を求めるのも、各紙、共通だ。

   こうした方向性はわかっていても、スパッと割り切れない各紙の書きぶりが、この問題の難しさを印象付ける。

   どう打開していくか。「各自治体の首長は『急性期を担う公立病院がわが町にどうしても必要だ』などという体面にこだわらず、各地の実情をふまえた再編・統廃合に踏み出してほしい。......病院再編に関する知事の権限は強化されており、都道府県の積極関与がカギを握る。......このようなときにこそ知事が指導力を発揮すべきだろう」(日経10月6日)というように、知事の役割が重要になりそうだ。

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