あえて「機械的」に算出。それが裏目に
なにより、地域からは猛反発の声が噴出する。県内13医療機関がリストに載った福岡県の小川洋知事は10月23日、「医療機関が提供する医療の内容、設立の経緯は様々で、地域で果たすべき役割も違う」と反発。同じく5機関がリスト入りした和歌山県の労働組合や医療・福祉関連団体でつくる県社会保障推進協議会は11月、国に撤回を求める仁坂吉伸知事宛ての要請書を提出――といった具合だ。
各方面の強い反発は、厚労省としては読み違いだったようだ。今回のリストは、同一地域内の公的病院の平均水準を一定以上下回る病院を「診療実績が少ない」としたり、同じような診療を行っている病院が近くにあるかをランキングして「類似かつ近接」の病院があるか否かを判定したりするなど、機械的に弾いた。恣意的と言われないよう、あえて地域事情は考慮せずリストアップしたもので、「客観データ」を基礎に議論を促すという狙いだったが、名指しされたほうはそれでは収まらない。
このため、厚労省は10月、自治体や病院関係者との意見交換会を急遽、全国7ブロックで開いた。その一つ、29日に厚労省での会には関東甲信越の400人が詰めかけ「住民に不安を与え、スタッフにも動揺が広がっている」などの声が相次ぎ、厚労省側は「病院が将来担うべき役割や必要な規模の縮小、機能分化の方向性を機械的に決めるものではない」と、丁寧な説明を約束し、防戦に追われた。