プロ野球の2019年シーズンの観客動員数が、昨年を上回った。一昔前と比べると観客層に変化がみられ、球場に足を運ぶ女性ファンが多くみられるようになった。
選手もまた時代に沿って変化している。最近の選手はファッションセンスが洗礼され、「いま風」の服を上手く着こなしているものが多い。昭和の時代、野球選手の服装は「ダサい」と見る向きもあったが、時代とともに野球選手のファッションは大きく変わってきている。
私服センスにも注目が集まるが...
12球団のなかでトップクラスの人気を誇る巨人だが、ファッションにおいてもオシャレな選手が多いことでも知られる。チームリーダーである坂本勇人(30)をはじめとし、女性人気が高い小林誠司(30)や陽岱鋼(32)らの私服姿がファンの間でたびたび話題にあがる。移動時のスーツ姿も注目され、洗礼されたファッションセンスは女性ファンの心をしっかりつかんでいる。
一方で髪型に目を向けると、巨人において茶髪、長髪の選手は見当たらない。「常に紳士たれ」がモットーの巨人には「鉄の掟」が存在し、原則として「髭、茶髪、長髪」は禁止されている。過去には特例として髭を生やすことを認められた選手もいたが、基本的に巨人に所属する選手はこの「掟」を厳守しており、外国人選手も例外ではない。
巨人の選手は社会人の「模範となるべき存在」という概念から髭や茶髪が禁止されているようだが、これに同調する監督もいる。代表的なのは名将・野村克也氏(84)だろう。野村氏は「野球選手はプレーで目立てばいい」との考えを持ち、過去に指揮を執ってきた球団で髭や茶髪を禁止してきた。
西武は自主性重んじ茶髪を解禁
また、近年ではソフトバンクの工藤公康監督(56)も選手の茶髪について否定的な姿勢を見せており、試合中のガム噛みやツバを吐く行為に苦言を呈している。一方で今シーズン、パ・リーグを制した西武の辻発彦監督(61)は、選手の自主性を重んじて選手の茶髪を「解禁」している。選手の髪の色、髪型にルールを作らず、グランドで結果を残すことを望んでいる。
MLBでも身だしなみに厳しい球団がある。最も有名なのがヤンキースだ。1973年にオーナー職に就いたジョージ・スタインブレナー氏が、髭や髪形に関する規則を定めた。ヤンキースでは、口髭の先端が唇より下までくるものや頬髭、襟元に達する髪型を禁止している。スタインブレナー氏亡き今も、この規則は球団内に息づいている。
時代に流されることなく「伝統」を重んじてきた巨人。今シーズン、阪神のオネルキ・ガルシア投手は髪の毛を金色や赤色に染め、ファンを楽しませてきたが、巨人ではこのような「個性派」が出てくることはないだろう。ある巨人OBは言う。「巨人の伝統にはいい面もあれば悪い面もある。他球団の選手には理解できないものもある。それを全てひっくるめての巨人ですから。それが変わることはないでしょう」。