ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級王者となった井上尚弥が所属する大橋ボクシングジムの大橋秀行会長が2019年12月13日、東京都内で開いた自著出版イベントで報道陣の取材に応じ、IBFから井上尚弥に対し、同級1位マイケル・ダスマリナスとの指名試合の通達が「正式に来た」と明かした。
世界4団体のうちWBAとIBF王者の井上陣営は、次の挑戦としてWBO王者のジョンリル・カシメロとの統一戦を希望してきた。カシメロとダスマリナス、次戦の相手はどちらになるのか。
「4人くらい候補がいます」
大橋会長は自著『最強モンスター 井上尚弥はこうして作られた』(祥伝社)刊行イベントに出席。井上が11月のWBSS決勝、ノニト・ドネア戦で負った右眼窩底骨折の経過は良好だという診断を受けたとし、「もう軽く動いている」と状態を明かした。20年1月にスパーリング、同2月に合宿をし、4月を予定している試合に準備を進める。
問題は次戦の相手が誰になるか。IBFがダスマリナスとの交渉を井上陣営に促したと海外メディアで報じられていたが、大橋会長はこの日「(指名試合の通達が)正式に来ました」と明かした。
井上陣営はWBO世界バンタム級王者のカシメロとの王座統一戦を希望してきた。しかし、IBFの指名試合を断れば、井上のIBF王座は剥奪されることが濃厚。実際、8月にはIBF世界ミドル級王者だったカネロことサウル・アルバレスは指名試合に応じなかったため王座を剥奪された。大橋会長はこの例をあげ、「(IBFは)そこはきっちりしている」と指名試合回避のリスクを十分認識している。
大橋会長は「ベルトより相手ですね。今ならカシメロと戦うのが一番ですけど」と意欲は変わらない考えを示す一方、
「(IBFが)こういう風に来ちゃうと、それ(カシメロ戦)だけにこだわらずに。対戦候補としてはあと(ジェイソン・)マロニーがあがっていますし、ダスマリナスとカシメロと...4人くらい候補がいます」
と現状を説明した。以前「カシメロ第一」と言っていたが、ダスマリナスと戦うこともあり得るのか、という質問にも「はい」と頷いた。
井上自身は次の相手について「決まった試合をやりたい」と話しているという。米国大手プロモーション会社「トップランク」と契約している井上だが、次戦の相手を決めるのはあくまで「こちらに任されている」と明かす大橋会長。IBFのダスマリナスと戦うか、次なる王座をねらってWBOのカシメロと戦うか。井上の次の挑戦に注目は続きそうだ。