「中国人は採用しません」ツイート騒動で知られる東大大学院の特任准教授、大澤昇平氏の新たなツイートに対し、東大側が「当該書込みの削除および内容の訂正を指示しています」と見解を公表した。
今回の問題は、東大の寄付講座に関するもの。大澤氏が「寄付金の8割は東大に取られ」などと主張したのに対し、東大側は「本学の寄付講座に関して誤った認識を含む書き込み」があったとしている。
東大側「寄付講座の基金は東京大学が受け取るもの」
AI(人工知能)開発会社「Daisy」経営でも知られる大澤氏は2019年12月12日のツイッターで、
「URGENT 過日、IT各社が特定思想に偏向する団体の圧力を受け、寄付停止を発表した。但し、1億円超の寄付金の8割は東大に取られ、私が受け取っていたのは2割程度。だが、損失は損失だ。開発は遅れ、講座の存続も危ぶまれる。当社はAI産業発展に向けた第1回寄付金を公募する。志ある者の行動を求む」
とつぶやいた。これに対し、東京大学大学院の情報学環・学際情報学府(以下、情報学環)サイトは12月13日、大澤氏による「2019.12.12付のSNS書込み」に対する見解を公表した(情報学環長・学際情報学府長名)。大澤氏のSNSで
「本学の寄付講座に関して誤った認識を含む書き込みがありました」
として、情報学環の見解を表明した。東大の寄付講座について、「東京大学寄付講座要項」に基づく定義を記載したうえで、その設定や運用の原則として、
「本学における教育研究の進展及び充実を目的とし、学術に関する社会的要請その他の諸条件の変化への対応並びに教育研究体制における流動化、国際化、学際化及び公開化の推進に配慮して行うものとする」
とされている、と指摘。さらに、
「従って、寄付講座の基金は国立大学法人である東京大学が受け取るものであり、特定個人が受け取るものではありません。また、情報学環に設置された寄付講座の実施内容とDAISY社(編注:原文ママ)の事業内容とは関係しておりません」
と、大澤氏による「東大に取られ」といった主張を否定した。最後に、
「これらのことから、情報学環としては当該教員(編注:大澤氏)にSNSへの当該書込みの削除および内容の訂正を指示しています」
と結んでいる。
寄付停止の方針は「当該教員のSNSにおける不適切な書込みが原因」
また、寄付停止についても大澤氏と異なる見解を示しており、
「情報学環としては、今回各社からの寄付停止の方針となったのは、当該教員のSNSにおける不適切な書込みが原因であると認識しております」
とも記載している。
指摘があった「不適切な書込み」は、大澤氏が11月にツイッターで「弊社Daisyでは中国人は採用しません」などと投稿したことを指し、情報学環では11月24日、
「学環・学府構成員から、こうした書き込みがなされたことをたいへん遺憾に思い、またそれにより不快に感じられた皆様に深くお詫び申し上げます」
などと見解を公表していた。
大澤氏はその後も、「中国人は採用しません」ツイートについて、「AIの過学習のせい」と弁明するなど注目を集めていた。12月13日にもツイート投稿は行っているが、同日夕現在、東大側の「削除および内容の訂正」には応じていない。