臨時国会の会期末に近い2019年12月2日、原英史氏らを発起人とする「国会議員による不当な人権侵害(森ゆうこ参議院議員の懲罰とさらなる対策の検討)に関する請願書」が参院議長に提出された。しかし、日本維新の会、みんなの党は賛同したが、自民、公明、立憲民主、国民民主らは、事実上の反対である保留とのスタンスで、懲罰は見送られた。
これに関連して、筆者も森ゆうこ参院議員らから国会審議などで誹謗中傷を受けた。11月13日付けの原英史氏から森ゆうこ議員への公開質問状があるので、それに基づいて説明しよう。
公開質問状を読み解く
原氏からの公開質問状には、
<特区ビジネスコンサルティング社会社案内とされる資料について>
6、森議員の10月15日参議院予算委員会及び11月7日参議院農水委員会での配布資料のうち「出典:特区ビジネスコンサルティング会社案内より森ゆうこ事務所」とされるものには、髙橋洋一氏の氏名・顔写真などの記載があります。これについて、
・もとの資料は誰からどのように入手しましたか。
・資料の信ぴょう性をどのように確認しましたか。
という質問がある。
筆者が、特区ビジネスコンサルティング社の顧問をし、その主催講演会で話している写真だ。実は、そこには、岸博幸慶大大学院教授の顔写真も掲載されている。筆者も岸氏もまったく身に覚えないことである。ネットではまじめに事実を探求する方もいる。それによれば、これらの写真は8年ほど前に行われた岸氏との対談のものである。
また、
<質問通告について>
7、10月15日参議院予算委員会の質疑に関して、10月11日に、質問要旨を何時に誰に手交または送付しましたか。
8、10月15日参議院予算委員会の質疑に関して、森議員は、質問内容が事前に漏洩していたと指摘しました。根拠のひとつとして、髙橋洋一氏が質問の前のツイートで、森議員の配布資料(上記6)に言及したことをあげていました。しかし、これはツイート時刻の変造(サンフランシスコ時間で表示されたもの)であり、日本時間では質問後のツイートだったことが判明しています。
森議員は、ツイート時刻の変造された資料を、誰からどのように入手しましたか。
という質問もある。
筆者のツイッターのツイート時刻を変造したまま、柚木道義議員らはデタラメな国会質問を繰り返した。これについての顛末は、有志の「ツイート時刻変造問題調査チーム」が明らかにしている。
「レイシズム」と「ファシズム」
筆者は、これらの国会議員による誹謗中傷に耐えかねているが、最近さらなる誹謗中傷を受けた。
立憲民主党の石垣のりこ参院議員は、筆者をレイシズム、ファシズム呼ばわりした。もちろん、筆者にはまったく身に覚えがないので、石垣のりこ議員に、その根拠をただしたが、これまで何も返事はない。そこで、立憲民主党の枝野幸男代表にも見解をただしているが、その返答もない。
レイシズム、ファシズムという決めつけはかなりの差別表現である。筆者にとって、不思議なのは、この件も森ゆうこ議員の件も不思議なのが、いわゆる左派メディアは取材にこないことだ。左派メディアは、本来は人権問題に敏感なはずなのに、どうしたのだろうか。
さらに、左派系野党は、いつも説明責任というが、先ず隗より始めよ、率先垂範すべきだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「『バカ』を一撃で倒すニッポンの大正解」(ビジネス社)、「韓国、ウソの代償」(扶桑社)など。