令和最初となる師走の東京・丸の内が「ONE TEAM」に染まった――。
「ラグビーW杯2019日本大会」で列島を熱狂の渦に巻き込んだラグビー日本代表選手が2019年12月11日、東京・丸の内で「感謝」のパレードを行った。平日の日中にもかかわらず、沿道に詰めかけたファンは約5万人(主催の日本ラグビーフットボール協会発表)。チームを牽引し続けたリーチ マイケル主将を筆頭に、選手28人が約800メートルを練り歩き、ファンと交流した。
同チームSOの後輩・田村優選手に頭をはたかれ...
泣いた―。
熱いものが、何度も、込み上げてきた――。
166センチ、34歳のベテラン「小さな巨人」SH田中史朗選手が、人目をはばからず号泣した。昼下がりの東京・丸の内。日本最大のオフィス街に、約5万人ものファンが集まってくれたからだった。パレード序盤から感涙の止まらない田中選手は、
「もう、本当に...。こんだけ、たくさんの皆さんに集まっていただいて...。本当にうれしいです。今も、たくさんの子どもたちが応援してくれて『ありがとう』っていう言葉を言ってくれるのが、本当にうれしいです...」
今季からトップリーグ(TL)のキヤノンに移籍。チームメイトとなった、同じく日本代表SOの田村優選手は、田中選手より後輩なのにもかかわらず、涙が止まらない先輩の頭を笑いながらはたいた。ニュージーランド出身のレメキ ロマノラヴァ選手(HONDA)からは、優しく肩を抱き寄せられた。
リーチ主将「たくさんの勇気をありがとう」
五輪のメダルパレードは、丸の内でもしばしば行われる。が、今回のラグビー日本代表は「8強」だった。もちろん、目標を達成したことに変わりはないが、関係者によると「8強でパレードというのは聞いたことがない」。しかし、それだけ日本国民に大きなインパクトを与えたということの裏返しでもある。リーチ主将はチームを代表して、
「たくさんのブレイブ(勇気)を贈ってくれたファンの皆さまのお陰だと思っています。『ONE TEAM』になったこと、すごくうれしいです」
沿道からの声援に対してはもちろん、お昼時のオフィス街ということもあり、周辺のビルからもサラリーマンやOLが窓越しに手を振った。
選手たちも、笑顔で手を振り返した。
稲垣選手「緊張しすぎて...。笑えませんでした」
また、今年の流行語にもノミネートされた「笑わない男」稲垣啓太選手(パナソニック)は、沿道から「笑ってください!」との黄色い声が飛んだ。しかし、
「何百回も言われたんですけど、緊張しすぎて...。笑えませんでした」
逆に、報道陣を笑わせた。
今回のパレードは、平日の都心を閉鎖して行ったということもあり、ファンを始め、多くの報道陣が詰めかけた。記者も、ビブス(取材用のゼッケン)を借りて撮影に臨んだ。しかし、普段はカメラマン同士、押し合いへし合いになるところなのだが、どこからともなく「『ONE TEAM』だから!」という声が飛んだ。
沿道に詰めかけたファンも、キッチリとルールを守って声援を送ってくれたことに、感謝したい。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)