「なんで決まったのかという過程が大事」「記録をちゃんと残すべき」
「助成金がなくなれば一定の制約が映画にも出る。ある意味表現活動を制約することになる。単に犯罪者が出たからというだけではなくて、映画の表現との関係など含蓄のある議論をしてもらわないと。ちゃんと議論したかどうかを記録に残すべき」。J-CASTニュースの取材に、情報公開の問題などに詳しい、NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長はこう指摘する。
三木氏は、振興会側が残した議事要旨について、「結論と理由以外は実質的なことは書いていない。なんで(助成金不交付が)決まったのかという過程が大事。審議で異論があったのだったら異論があったことも記録しておかないとだめ」と強調する。
「例えば(審査会は)振興会が主導しているのか、文化庁が主導しているのかも結構重要。文化庁が『絶対認めない』などと言って、振興会は何も言えない感じで決まっているのか。それとも(両者が)対等な立場で議論しているのか。振興会がもう方針を決めていて、『文化庁さんこれでいいですか』というような話なのか。誰が主導性をもってやっているのか、それなりに議論をしてやったことなのかなど、これだけだとわからない。不利益な取り扱いをすれば当然訴訟になったりする可能性もあるわけですから。根拠として何もないと、後付けでいろんな言い訳をされても証拠にならない。記録をちゃんと残すべき」
主に行政文書を対象とした「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)の第4条では、意思決定の過程などを合理的に跡付けしたり、検証したりすることができるよう、事案が軽微なものの場合を除いて、文書作成しなければならない、などと定めている。独立行政法人などが管理する法人文書の管理規則については、第13条で行政文書の管理規則への記載事項などを規定した第10条2項を「参酌」し、「法人文書の管理に関する定めを設けなければならない」などとしている。法人文書管理の原則、いわゆる管理の内容については、第11条で「独立行政法人等は、第四条から第六条までの規定に準じて、法人文書を適正に管理しなければならない」としている。
日本芸術文化振興会の「法人文書管理規定」では、「振興会における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに振興会の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう文書を作成しなければならない」としつつも、「振興会の意思決定と同時に文書を作成することが困難である場合」と「処理に係る事案が軽微なものである場合」に関しては、「この限りではない」と規定している。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)