JRユーザーには「お得列車」か
直通線開業で、相鉄からの列車を受け入れるJR線側では通勤ラッシュに「乗り得」な列車が現れるようになった。前述のように100%前後の混雑率なので、直通線とJRが合流する武蔵小杉から新宿方面へは、既存の湘南新宿ラインの列車とは明らかに混雑率に差がある。直通の新宿行きは武蔵小杉に到着すると立ち客は増えたが、混雑率は反対側の窓から景色が見える程度で立ち客が触れ合うこともない。対して、湘南新宿ラインや横須賀線の上り列車は武蔵小杉発車時点で目測で「身体が触れ合い、相当圧迫感がある」200%程度とみられる。これでも横浜駅で相鉄からJRに乗り換えていた層が直通線に転移した後であり、湘南新宿ラインと横須賀線のラッシュの厳しさを実感させられる。
以後西大井・大崎・恵比寿と停車するたびに乗客は減り、渋谷到着時点で既に車内はガラガラ。直通線の需要は相鉄沿線から川崎・東京南部に散っていることを暗示している様子である。
相鉄・JR直通線は本数こそ少ないものの、相鉄沿線から東京南部への旅客と、横浜~新宿間の湘南新宿ラインの旅客には混雑緩和という着実な恩恵をもたらしている。輸送量だけで見ると相鉄本線・湘南新宿ラインという従来のメインルートからは外れているが、その分「穴場」として快適な使い方ができている。大々的にアピールされていた相鉄沿線のみならず、東京で鉄道を使う人にもプラスの影響が表れつつあった。
ただ、直通線・埼京線・湘南新宿ライン・横須賀線が関係する過密ダイヤゆえに列車が遅延しやすいのがネックで、取材日も上下線で数分の遅れが発生していた。今後、JR東日本の運行管理能力が問われるのもまた確かである。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)