神奈川県庁のハードディスク(HDD)が不正に転売された問題で、消去を請け負ったブロードリンクについて、社内で消去前のパソコンが紛失していると、以前からネット掲示板などで話題になっていたことが分かった。
1年前には、窃盗容疑で逮捕された元社員の男(51)と同じイニシャルの人物がHDDなどを横流ししているとの書き込みもあった。真偽は不明だが、ブロードリンクは、管理がずさんだったことを認めており、被害が拡大する可能性もある。
「わが社に問題があったと認識」
「わが社に問題があったと認識しています」。ブロードリンクの榊彰一社長は、2019年12月9日の会見で、こう説明して、頭を下げた。
同社の説明によると、これまでは、HDDを消去や破壊などの処理に出した後は、本当に処理されていたか確認していなかった。また、手荷物検査は、入退室時に常に行っておらず、内容や頻度が不十分だったとした。
そして、榊社長は、再発防止措置を取った後は辞任し、同社の営業も1か月にわたって自粛することを明らかにした。
今回の問題では、廃棄したはずのHDDがネットオークションで転売されていたと外部から連絡があり、ブロードリンクが11月27日に社内調査を始めた。手荷物検査などから12月3日に容疑者の男を特定し、男もHDDなどの転売を認めたという。
同社では、裏付けが取れたとして、6日に男を懲戒解雇するとともに警視庁の大森署に被害届を出した。男は、同日夜に緊急逮捕されている。
この日の新聞報道などから、ヤフー・オークションに出品されたHDD9個に神奈川県庁の納税記録などがあったことが明るみに出て、大きな騒ぎになった。9個のデータは、計27テラバイトもあったといい、「世界最悪級の流出」とも報じられている。