「何を稼ぎ頭とするのか」(アナリスト)
今回、津賀社長が会見で、今後の成長分野として掲げたのが「空間演出」と「効率化支援」の二つ。前者は、住宅やオフィス向けに照明や空調などを効果的に組み合わせて提供するもの。後者は、IoT(モノのインターネット)、AI(人工頭脳)などを活用した工場や物流倉庫の省人化などを進めるもの。津賀社長は「大量生産した製品の単品売り切り型から、複数の製品や技術を組み合わせてサービスを提供するビジネスモデルへとシフトする」と語る。ただ、いずれも小粒で、「次の柱」というには力不足感は否めない。
28日夕の半導体撤退発表を受けた29日の株式市場で、パナソニック株は一時、前日比39円50銭(3.9%)高の1048円50銭まで上昇し、2月26日以来9カ月ぶりの高値を記録し、12月5日には1049円をつけたが、上昇のパワーは弱く、1月22日の年初来高値1110円も突破できないでいる。「赤字事業の切り離しは評価するが、何を稼ぎ頭とするのか、そのためにどのような戦略を描いていくのかが見えない」(アナリスト)というあたりが市場の評価ということだろう。
パナソニック復活の視界は、まだ開けていないようだ。