一見すれば「強者連合」、だが
「止血」に追われるのは半導体だけではない。半導体に、液晶、太陽電池を加えた赤字3事業について、太陽電池は一部を売却することを決定済みで、液晶パネルの生産も2021年にも終了すると発表したばかりで、今回の半導体撤退で3事業には、ひとまずメドをつけた。津賀一宏社長は22日の投資家向け事業説明会の際の会見で、「構造的赤字事業を撲滅する」と宣言。海外で赤字のテレビ事業も他社との協業を進める考えで、こうした取り組みにより、2021年度までに、世界全体で、利益押し上げ効果400億円、拠点集約などで300億円、人件費削減で300億円のコスト削減と、合計1000億円の利益改善を目指す方針も示した。
だが、次の「成長の柱」といえる事業、そのための戦略は打ち出せていない。
2012年に就任した津賀社長はプラズマテレビからの撤退(2013年)といったリストラの一方、「住宅」「車」を成長分野と位置づけ戦略的な投資を進めると宣言した。
その大きな柱が米電気自動車ベンチャーのテスラとの協業を柱とする車載電池事業だった。しかし、中国勢の台頭や工場立ち上げの遅れなどもあって、2019年度も赤字の見込みだ。テスラ向け以外の車載電池事業は2019年1月、トヨタと事業統合することにした。
住宅事業も、パナホームと九松下電工の住宅設備機器の相乗効果を期待したが、思うように伸びず、5月にやはりトヨタとの合弁に移管すると発表した。電池、住宅とも、一見すれば「強者連合」だが、裏を返せば単独で競争力を維持していくのが容易でなく、提携に活路を見いだす――ということとも取れる。