赤字事業「切り離し」は評価も...じゃあ、次の「柱」は? パナソニック描けるか今後の戦略

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   パナソニックが半導体事業からの撤退を決めた。

   台湾の半導体メーカー「新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)」に、事業子会社の全株式を、2020年6月をメドに、2億5000万ドル(約270億円)で売却すると、11月28日発表した。半導体は家電とともに成長したが、韓国や台湾勢の攻勢で競争力を失い、事業継続は困難と判断した。パナソニックは1週間前にも液晶パネル生産をやめると発表したばかりで、赤字事業を切り離す構造改革の一環だが、今後の成長の柱となる事業や戦略は明確でない。

  • パナソニックの今後は(Pokarinさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    パナソニックの今後は(Pokarinさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • パナソニックの今後は(Pokarinさん撮影、Wikimedia Commonsより)

一時は世界でも十指に入ったが

   売却するのは製造子会社「パナソニックセミコンダクターソリューションズ(PSCS)」(京都府長岡京市)など子会社3社で、中国などにある設備や在庫も含む。従業員(国内約2300人、海外約100人)の雇用や開発・生産拠点は当面維持することで新唐側と合意しているという。

   パナソニックがフィリップス(オランダ)との合弁で半導体の生産に乗り出したのは1957年。テレビやエアコンに組み込む集積回路(IC)など、家電を制御する基幹部品を自社で手がけるためだった。家電の隆盛に歩調を合わせて生産を増やし、1980年代後半には半導体メーカーで世界トップ10に入った。

   しかし、DRAMなどメモリーが半導体の主役になり、巨額投資で市場を奪った韓国メーカーに圧倒される一方、CPU(中央演算処理装置)などの高性能半導体は米国メーカーが強く、パナソニックに限らず、日本勢は徐々に後退。国内では業界再編が繰り返されるも、日立など3社のDRAM事業を統合したエルピーダメモリは2012年に破綻し、ルネサスエレクトロニクスも苦戦を続ける。

   パナソニックは一部を富士通との合弁に切り替えるなどの手を打ち、最終的にPSCSに集約し、家電用が先細る中、自動車部品や産業用機械向けに重点を移す方向で取り組んできたが「スピード感が足りなかった」(同社)こともあり、2019年3月期の売上高は922億円とピークの5分の1に落ち込み、純損益が180億円の赤字を計上。黒字化が見通せないとして、売却を決断した。

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