プロ野球はシーズンオフになり、選手たちの契約更改が報じられる季節になった。今オフはこの公表された年俸を巡り、大きな反響を呼んだ出来事が起こった。
その評価に同情の声が集まったのが、中日・祖父江大輔だった。今季44試合に登板して3勝4敗1セーブ、3ホールド、防御率3.11。1回目の契約交渉で前年の推定年俸2900万円からのダウン提示を受けて保留した。
選手からは「公表」自体に不満も
この報道に、カブス・ダルビッシュ有が中日球団の年俸提示の妥当性に疑問を呈したことで注目を集めた。その中で、昨季の推定年俸がメディア報道の2900万円ではなく、3500万円前後だったことが判明。結局、祖父江は2度目の交渉で100万円減の推定年俸3400万円でサインした。
年俸の公表は、「子供たちに夢を与える」、「プロ野球選手のステータス。公表することで球団から理不尽な扱いを受けていることが明るみになる時もある」と意義を強調する声がある一方で、当事者の選手たちは疑問を唱える。社会人野球を経て在京球団でプレーしている30代の主力選手は「年俸って公表しなきゃいけないんですかね。サラリーマンの皆さんは第三者に給料聞かれて答えますか? 答えないでしょ。球団からは『報道陣に年俸を言う義務はない』と伝えられているけど、公表しなければわがままだとも言われるし。契約更改後の記者会見は本当に必要なのか、毎年不思議に感じます」と漏らしていた。
選手間で話していると、公表されている年俸額と現実の額が1000万以上違うことも珍しくないという。近年はインセンティブ(出来高)契約を結ぶ選手が多く、公表された年俸は現状維持でも出来高査定で受け取る額が大幅アップしているケースもみられる。あるテレビ関係者は「公表額が2億円で、実際は3億円もらっている選手もいました。公表されている年俸額は話半分で聞いた方がいいと思います」と明かす。
不確かな年俸の公表に必要性があるのかという疑問がある一方で、契約更改はプロ野球の風物詩でもある。過去には、球団と考えの溝が埋まらないまま退団する選手がいたり、球団の提示額に激怒して数々の「名言」を残したりした選手もいる。「銭闘ドラマ」はグラウンドの戦い以上に注目度が高いのが実情かもしれない。