両制度の存続を「強く要望」する業界団体
金融庁は20年度の税制改正に向け、時限措置であるNISAの恒久化を求めている。家計の「安定的な資産形成」を後押しする目的があり、恒久化の要望はここ数年出されている。積み立て投資に軸足を移すのも、同様の趣旨からだ。
現状の一般NISAは、積み立てなどによる長期投資だけでなく、デイトレードといった短期売買にも使えるため、安定した資産形成ができないのではといった指摘もある。一方で、つみたてNISAの普及は、まだ道半ばだ。19年9月に発表された、6月末時点の利用状況によると、一般NISAが約1162万、つみたてNISAが約147万口座だった。
与党は、つみたてNISA開始前の17年度税制改正大綱で、「複数の制度が並立するNISAの仕組みについて、少額からの積立・分散投資に適した制度への一本化を検討する」としていた。しかし、19年度のそれでは「その政策目的や制度の利用状況を踏まえ、望ましいあり方を検討する」といった表現に抑えられている。
そこへきての「一本化へ」「見送り」報道。すんなり行かない背景には、金融業界の意向もあるようだ。日本証券業協会の鈴木茂晴会長は、11月20日の記者会見で、一般NISAが若年層にも浸透しつつあるとして、「両方のNISA制度そのものの存続を強く要望している」(協会公式サイトの会見要旨より)と述べている。果たして、まもなく決定する大綱では、どのような表現になるのだろうか。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)