1990年代に大ヒット作「新世紀エヴァンゲリオン」を手がけたアニメ制作会社「ガイナックス」の社長(50)が警視庁に準強制わいせつの疑いで逮捕され、同社は2019年12月6日、サイト上にお詫び文を出した。
そこでは、「事実関係を確認し、厳正な対処」を行うとしている。ガイナックス(東京都武蔵野市)からは最近、アニメの新作などが出ていないが、現在はどんな状況なのだろうか。
15年の「放課後のプレアデス」以降は、新作アニメ発表なし
「エヴァンゲリオンの制作に携わっていた」。各メディアの報道によると、容疑者は、2018年6月に自ら設立した芸能プロ「ガイナックスインターナショナル」で、19年に入って新人発掘オーディションを行い、応募した少女らにこんなウソをついていたという。
容疑者は、東京都内の自宅マンションを芸能プロの「女子寮」として少女らと同居し、19年2月に訓練だとして被害者の10代後半の少女の裸を撮ったり、マッサージだとして体を触ったりした疑いが持たれている。容疑者は、「お願いされて写真を撮っただけだ」と否認しているという。
ガイナックスは1984年に設立され、庵野秀明監督が手がけたエヴァのほか、「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」などのヒット作で知られる。その後、庵野氏は、自らの会社カラーを立ち上げて2007年に退社し、ガイナックスは、エヴァ関連グッズなどの販売に対しカラーに使用料を支払う契約を交わした。しかし、支払いや借入金約1億円の返済が滞って訴訟になり、現在も係争中となっている。
15年のテレビアニメ「放課後のプレアデス」以降は、新作アニメが発表されておらず、19年10月には、当時の山賀博之社長に代わって、ガイナックス取締役で営業担当だった容疑者が新社長に就任していた。
「責任者は外出して戻らない」
ガイナックスからは、同社の名前を付けた会社が次々に設立されており、そのうちの1つ「ガイナ」は、「トップをねらえ3」など新作アニメを手がけ、アニメ監督としても知られる山賀氏が制作を進めている。なお、ガイナは現在、ガイナックスとの関係はなくなっている。
山賀氏は12月5日、自らのフェイスブックで、代わったばかりの新社長が逮捕されたことに驚いたとし、「事が被害者のいる事だけに軽率な発言はできないのですが、事件については全く知りません」と説明した。11月18日には、「『トップをねらえ3!』やっと第二話の脚本を書き終えたよ」と報告していた。
それでは、現在のガイナックスは、一体どんなことをしているのだろうか。
同社に12月6日、J-CASTニュースが取材すると、責任者は外出して戻らないといい、社員のスタッフが「女子寮のことなど初耳です」と当惑した様子で話した。
現在はエヴァの新作制作などとは無関係なことを認めたうえで、使用料を払う契約を交わして、そのグッズなどを売っていると説明した。エヴァとは別の新作アニメ制作については、「これからあると思いますが、詳しくはお話できません」という。
ちなみに、エヴァの制作は現在、庵野監督が社長を務めるカラーが行っており、「2020年6月公開予定の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作及び上映について、今般事件による影響はございません」とサイト上で説明した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)