幻に終わった井上との王座統一戦... 元PFP1位ロマゴンは再び輝きを取り戻せるのか

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   元世界4階級制覇のローマン・ゴンザレス(32)=ニカラグア=が日本のリングで復活する。2019年12月23日に横浜アリーナで行われるWBA世界ミドル級タイトル戦の前座に出場する。ディオネル・ディオコス(26)=フィリピン=と対戦し、契約体重の8回戦で行われる。ゴンザレスが日本のリングに上がるのは、2014年11月以来、約5年ぶりとなる。

   アマチュアで87戦無敗を誇り、2005年のプロデビュー以来、無敗のままミニマム級、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級の4階級を制したゴンザレス。2015年には世界的に権威ある米国の専門誌「リング誌」が格付けするパウンド・フォー・パウンド(PFP)で重量級選手を押しのけて1位の座を獲得。世界最強の称号を手に入れた。

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強打だけでなく世界最高峰の技術も

   ゴンザレスは日本のボクシングファンから「ロマゴン」の愛称で親しまれ、なじみ深い選手だ。2008年9月、WBA世界ミニマム級王者・新井田豊に挑戦し、4回TKOでベルトを奪取。最軽量級のボクサーとは思えないほどの重く、力強いパンチは日本のファンの度肝を抜いた。以降、高山勝成、八重樫東らとグローブを交え、いずれも勝利を収めている。

   ボクシングセンスの塊といわれるゴンザレスは強打だけではなく、世界最高峰の技術を持ち合わせる。アッパー、ボディーから顔面に流れるように繰り出されるコンビネーションは、相手の急所を的確にとらえる。中米ボクサー特有の重く、硬いパンチに加え高い技術を持つゴンザレスはまさに敵なしの状態だった。

   プロ、アマ通じて無敗を誇るゴンザレスと井上尚弥(26)=大橋=。2人のモンスターは同時期に異なる団体の同級王者として君臨し、2017年の年末に王座統一戦のプランが浮上していた。実現すれば世界中の注目が集まるメガファイトになったであろう一戦は、ゴンザレスの初黒星によって白紙となった。

まさかの連敗に膝の負傷で長期ブランク

   2017年3月、WBC世界スーパーフライ級の初防衛戦に臨んだゴンザレスは、シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)にまさかの判定負けを喫した。プロ47戦目にして初黒星。試合を中継したテレビの解説を務めた井上は「今日負けるとは思わなかった」とショックを隠さなかった。半年後にゴンザレスはシーサケットとのリマッチに臨むも、結果はプロキャリアで初めてのKO負けとなった。

   一度は交わりかけた運命の糸は、ゴンザレスの連敗によってそれぞれ異なる方向へと向かっていった。ゴンザレスは2018年9月に再起するも練習中に膝を負傷し、長期のブランクを余儀なくされた。一方の井上はスーパーフライ級に別れを告げ、18年5月にバンタム級の世界王座を獲得し、いまやPFPランキング上位に格付けされるまでに成長した。

   フライ級までのゴンザレスはその強打ゆえ、ほとんどの試合においてパワーで圧倒した。だがスーパーフライ級に上げてからは力負けする場面もみられ、井上が君臨するバンタム級への転向は現実的ではない。今後は、このままスーパーフライ級にとどまるか、1階級下のフライ級で出直しを図るか、いずれかの選択となるだろう。

   プロ戦績47勝(39KO)2敗。かつて世界の軽量級ボクサーを震え上がらせた最強王者は32歳となり、残された時間は多くない。2年前、井上とゴンザレスの対戦が実現していれば...。今となっては夢物語となってしまったが、ゴンザレスは再び輝きを取り戻すために1年3カ月ぶりのリングに上がる。

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