東京五輪マラソンは「前半20キロのみコース決定」――。
国際オリンピック委員会(IOC)と2020東京五輪・パラリンピック組織委員会(組織委)、国際陸上競技連盟(国際陸連)が2019年12月4日に下した決定は、異例かつ何とも歯切れの悪いものとなった。
組織委VS世界陸連の対立点
暑さ対策で、開催地が札幌市へと移った東京五輪マラソンだが、開催を約8カ月後に控えても、コースが決まらないという事態に陥っている。意見は対立しているのは、組織委と世界陸連だ。そこでIOCを交えた協議の結果、折衷案としたのが「前半20キロのみのコース決定」という玉虫色なものだった。
組織委は「20キロ×2周」を推す理由について、
★既存の北海道マラソンコースを活用できる
★観光名所を巡れるようにして、世界に札幌の魅力を発信したい
★大会のレガシー(遺産)として、ハーフマラソンにも活用できる
一方の世界陸連が「20キロ+7キロ×3周」にこだわる訳は、
★医療体制や給水所などが少なくて済む
★警備や運営要員の確保が、より容易になる
★(周回を増やすことにより)観客が観戦する機会が増える
★テレビ中継の経費が節約できる
どちらも一長一短に思えるが、組織委の森喜朗会長は、複数メディアの取材に対し、
「あと20キロについての結論はまだ出ていないが、おそらく日本側(組織委)の主張で理解が得られるという感触です」と話し、組織委主導で決定したい意向を明かしている。