ベルトランはドーピング違反に2度の体重超過
この試合の約3週間後にネバダ州アスレチック・コミッションが実施した薬物検査で、ベルトランから違反薬物のスタノゾロールに対する陽性反応が。これにより粟生戦は無効試合となり、ベルトランは罰金に加えて9カ月間の出場停止処分が科された。ベルトランはこれにこりず、今年6月のIBF世界ライト級タイトル戦(8回KO負け)でも前日計量で体重オーバーし、罰金を支払った。
世界戦で体重超過した選手のなかには、肉体的、精神的疲労で敗れるケースもみられるが、その一方でネリやベルトランのように体力を温存させていたとみられる選手が力を発揮して勝利することもある。体重の異なるボクサーが対戦した場合、リング禍につながりかねない危険をはらんでいる。とくに外国人選手は、試合当日に大幅に体重が増加している選手が多く、5キロ以上の増加はざらである。
IBFに続くWBOの当日計量導入が、体重超過の抑止力になるとはいえないだろうが、少なくともボクサーの体重管理に対する意識は変わるだろう。前日計量についてはボクサー個々の自覚に頼らざるを得ないのが現実で、ネリのように自覚に欠けるボクサーが存在することも事実である。体重超過を繰り返すネリに対してWBCがどのような処分を科すのか、世界のボクシング関係者が注目している。