「どなたか万札を崩せませんか?」。路線バスに乗った時、20代のある会社員男性は運転士の車内アナウンスを聞いた。たまたま1000円札の持ち合わせがあったこの男性は、両替できることを申し出た。バスの両替機が1万円札に対応していなかったため、万札しか持っていなかった別の乗客が運賃を支払えなかったのだ。
このケースは事なきを得て運行が再開されたが、男性の厚意に助けられた形。どこの路線バスでも同じような対応をするのだろうか。「乗客が『万札しかない』と申し出たらどうする」。複数のバス会社に見解を聞いた。
1000円札があったので「すぐ名乗り出た」
冒頭のケースに直面した男性は、ツイッターユーザーの島村(@toike_shimamura)さん。2019年11月24日、関東地方の路線バスに乗車した時のエピソードを投稿し、1万6000回以上リツイートされた。
「さっき久々に整理券式バスに乗ったら、『どなたか万札を崩せませんか?』と車内放送。千円札を沢山持ってたワイ、すぐ名乗り出たら、運転手さんがニコニコしながら何度もお礼を言ってくれたんだけど、当の万札しかなかったおじいさん、なんでずっとこっちを睨んでたんだろう。コワイワー」
困っていた乗客を助けた格好だが、リプライには「何と言うか古典的なよくある手口ですね」「その方...払わずに降りたかったんじゃ...」「無賃乗車を目論んでいたんでしょう」と、何かを察したような声が多数ある。バス内の両替機は1000円札しか通せないものがほとんど。手持ちに1万円札しかなく、運賃をピッタリ支払えないことを理由に、「タダ乗り」を試みたのではないかと推測されているわけだ。
島村さんも、実際の相手の反応からそのように感じた様子。J-CASTニュースの取材に「地域の足を長く残すためにも、善意につけ込んだ不正が少しでも少なくなればと願っています」と話した。
現代は交通系ICカードの普及などにより、現金での運賃支払いを見かける機会は一昔前より減った。とはいえ、全くなくなったわけではない。もし今回のように乗客が「1万円札しかない」と申し出たら、運転士はどう対応しているのか。また、万札が両替機に対応していないことを逆手にとった「無賃乗車」に頭を悩ませることはあるのか。