相鉄・JR直通線の開業で「懐かし切符」に行列 事情を聞くと...意外な事情が

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   2019年11月30に開業したばかりの相鉄・JR直通線の羽沢横浜国大駅。

   開業当日には、この新駅と新線に一見不釣り合いな、懐かしくマニアックな切符を求めて初日には鉄道ファンが長蛇の列を作った。ICカードと自動券売機やマルチ発券端末の普及ですっかり見かけなくなった、「硬券」「特別補充券」という切符だ。

  • 開業したばかりの新駅に、レトロな切符が(写真はイメージ)
    開業したばかりの新駅に、レトロな切符が(写真はイメージ)
  • 開業したばかりの新駅に、レトロな切符が(写真はイメージ)

「絶滅危惧種」の切符を求めて

   新規開業日の11月30日、羽沢横浜国大駅には開業記念の切符を求めるファンらで早朝から行列ができ、閑静な駅周辺は異例のにぎわいになった。記念グッズや切符類の中で特に話題になったのが「特別補充券」「硬券入場券」だった。

   「補充券」は自動券売機や切符売り場の発券端末では発券できない複雑な経路の切符や、発券機のない小駅や列車内での発券に使われる。手書き発券なので自動改札機を通過できないため、発売機会は極めて限られる。

   それが羽沢横浜国大→西谷間180円の切符として買えるということで、多くのファンがこの補充券を買い求めた。同じ区間の切符は自動券売機で買えるし、ICカードを改札機にタッチしてもOKなのにわざわざ希少価値を求めて補充券を買う列ができた。

   もう1種類は「硬券」という厚紙の切符で、自動券売機の普及前に広く使われていた切符である。機械で印刷して発券するのではなく、予め印字された切符を駅係員が手売りする昔ながらのスタイルの切符で、昭和時代までの国鉄や地方私鉄でよく用いられた。もはや「絶滅危惧種」のような硬券だが懐かしさから収集アイテムとしての価値は高く、羽沢横浜国大駅でも入場券(140円)として、1人3枚限定で発売を開始した。こちらも令和に開業した新駅にはやや不釣り合いなコレクター向けの切符だが、開業日発売分は早々に完売、一方で記念の「戦利品」の画像をネットに投稿する鉄道ファンも現れた。

「補充券」「硬券」ともに全駅で現役

    ところでこの特別補充券と硬券入場券は、実は相鉄全駅でも現役。硬券入場券は有人窓口で申し出れば購入できるものだった。JRや他の私鉄ではコスト削減で廃止が進んでいる硬券を全駅で残しているだけでも珍しいが、新駅でもわざわざ取り扱いを始めるのも稀少ではないだろうか。相鉄に12月3日に取材を行うと、硬券のセット発売は20年ぶりの新駅開業を記念してのことと答えた。補充券も既存の相鉄各駅にも緊急時などに備えて常備されているものだった。ただ、今回相鉄が直通線開業に合わせて公式ウェブサイトなどで発売告知を行い、駅の現場でも人出に備えて準備していたため、事前の予想以上に売れて盛り上がったようである。

    硬券・特別補充券ともに常備の切符のため12月3日現在でも入手可能だが、硬券は数に限りがあり、特別補充券も駅係員の手書き発券のため1日に発行できる枚数には限りがあるとのことで、相鉄は可能であれば自動券売機やICカードを利用してほしいと取材に答えている。

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