韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長による、「1+1+α」案と呼ばれる元徴用工問題の解決案が韓国で注目される中、さらに新たな案が浮上してきた。
「1+1+α」は、日韓の企業による拠出に加えて、両国の国民から寄付を募って元徴用工に賠償する内容だが、さらに世界中から寄付を募る、という案だ。
東亜日報社説「手掛かりになるならテーブルに乗せて対話を」
元徴用工問題をめぐっては、19年6月、韓国企業と被告となった日本企業が資金を拠出して元徴用工に賠償する案を韓国外務省が出し、日本側に一蹴されたという経緯がある。そこで出てきたのが「1+1+α」案だ。
元徴用工への賠償問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」とする日本政府の立場との整合性や、あくまで「日本政府の謝罪と賠償」を求める元徴用工の支援団体との方針など解決すべき課題は多い。だが、日韓議員連盟の幹事長を務める河村建夫・元官房長官が安倍晋三首相と面会した際、安倍氏が「きちんと日韓の間の約束を守ったものなら進めばいい」などと応じたと報じられたことから、
「完璧な解決策がなくても手掛かりになるようなものであれば、テーブルの上に乗せて対話を重ねなければならない」(11月30日、東亜日報社説)
などと期待を寄せる向きもある。
日韓請求権協定との整合性は?
今回新たに浮上した案は、12月2日にソウル新聞が国会議長室の関係者の話として報じた。既存の「1+1+α」案をベースにしながら、「世界への扉を開いて、誰でも寄付できるようにする」といい、「日韓の国民が寄付することへの拒否感が考慮されたとみられる」と解説している。
全世界から寄付を募るとなれば元徴用工問題を全世界に宣伝することにもなり、日本側は反発する可能性が高いが、この国会議長室の関係者は
「むしろ日本の立場では、財政負担を軽減する機会になる可能性もある」
と楽観的だ。ただ、日韓請求権協定問題との整合性は引き続き問題になりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)