プロ野球の各球団が来シーズンの外国人補強に動き出している。MLBから現役メジャーリーガーを獲得するチームやマイナーリーグ経験者らを獲得するケースもみられ、チーム事情によって様々だ。なかにはNPB球団を退団し自由契約となった選手の獲得に動くチームも。国内球団を退団した選手のなかにはNPBに活躍の場を求める選手もおり、ストーブリーグから目が離せない。
MAX161キロ、28歳の若さが大きな武器に
中継ぎ陣投手を欲するチームの間で注目を集めるのが、ソフトバンク退団が発表されたロベルト・スアレス投手(28)だ。MAX161キロの直球を武器に、2016年はセットアッパーとして58試合に登板して2勝6敗26ホールドを記録。翌年は右肘内側側副じん帯再建手術を受けたため登板の機会はなく、今シーズンは9試合に登板して0勝4敗、防御率5.74の成績に終わった。
ベネズエラ出身のスアレスは、2015年にメキシカンリーグでデビューし、43試合に登板して5勝0敗、防御率1.71をマーク。15年オフにMLBの複数球団の争奪戦の末、ソフトバンクが獲得。右肘の手術以降、思うような成績を残せていないが、28歳の若さとNPBを経験しているのが強み。すでに阪神が調査対象としているとの報道もあり、161キロ右腕の今後に注目される。
スアレスの他にロッテを退団したマイク・ボルシンガー投手(31)の移籍先にも注目が集まる。MLBブルージェイズから2017年オフにロッテに入団したボルシンガーは、18年に20試合に先発し、11連勝をマークするなどの快進撃を見せ13勝2敗、勝率第1位投手賞のタイトルを獲得。だが今シーズンは一転、同じく20試合に先発して4勝6敗、防御率4.63に終わった。
NPB経験者はアドバンテージに
両投手の今シーズンの年俸をみてみると、スアレスが8000万円、ボルシンガーが1億8500万円(金額はそれぞれ推定)となっている。スアレスは右肘の回復具合が気になるものの、年俸が今シーズンのものより低ければ買い手が付く可能性も。一方のボルシンガーは1年目の成績によって2年目の今シーズンは9500万円(金額は推定)の大幅アップとなったが、こちらは交渉次第となるだろう。
在京球団の関係者は「外国人の補強に関しては常にリスクが伴う。投手では、日本の公式球に対応できない選手もいるし、環境に戸惑う選手もいる。これらを考慮すれば、日本のチームで経験を積んだ選手はある程度計算ができ、大きなアドバンテージとなる。新たに海外から獲得するよりもリスクが低く、年俸の折り合いが付けば獲得に動く球団はあると思います」と指摘する。
今オフの国内の外国人移籍市場では、ヤクルトを退団したウラディミール・バレンティン外野手(35)のソフトバンク入りが濃厚となっている。バレンティンは守備面で不安を残すが、ソフトバンクはバレンティンの日本球界での実績を評価し、高額年俸ながらも獲得に動く模様だ。国内球団を退団した外国人の去就が注目され、ストーブリーグがにわかに盛り上がってきた。