東京大学大学院情報学環・学際情報学府特任准教授で、AI開発などを行う「Daisy」代表取締役の大澤昇平氏が自身のツイッターに、「弊社Daisyでは中国人は採用しません」などと書き込みをした問題で、同氏は2019年12月1日、ツイッターに謝罪文を発表した。
「当職による行き過ぎた言動が、皆様方にご迷惑、不快感を与えた点について、深く陳謝します」としつつも、「一連のツイートの中で当職が言及した、特定国籍の人々の能力に関する当社の判断は、限られたデータにAIが適合し過ぎた結果である『過学習』によるもの」と説明した。
「AIが適合し過ぎた結果」
大澤氏は、12月1日13時にツイートを更新。「Apology」と題した文で同氏は、「この度は当職による行き過ぎた言動が、皆様方にご迷惑、不快感を与えた点について、深く陳謝します」とお詫び。一方で、「一連のツイートの中で当職が言及した、特定国籍の人々の能力に関する当社の判断は、限られたデータにAIが適合し過ぎた結果である『過学習』によるものです」と主張した。
その後では、「誤解のおそれのあると見られるツイートを削除し、今後は本業と関係のないツイートは自粛します」とつづり、「二度と特定の人々に悲しい思いをさせぬよう、諸先輩方のお力添えを受けつつ、人権、歴史、社会について勉強をし直す所存です。何卒、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」と気持ちを新たにする一方、「当職は自由こそがイノベーションを生み、人類を発展させると信じてきました。世界は自由でなければならず、独裁は許されないことです。まして、それによって人々の自由が制限されたり、財産が奪われたりすることには不寛容であるべきです」と指摘していた。
「独裁に抗議するのであれば別の表現をするべきであり、その点に配慮がなかった」
同氏は「平素よりウイグルやチベット、そして香港の人々には共感しておりました」としつつも、「その義憤が、今回の行き過ぎた言動に繋がってしまった点は否定できません。しかしながら、独裁に抗議するのであれば別の表現をするべきであり、その点に配慮がなかった点について深く反省しています」としていた。今後のツイートについては、「差別に用いることはくれぐれも自粛願います」と求めていた。
大澤氏は、11月20日に「弊社 Daisy では中国人は採用しません」「中国人のパフォーマンス低いので営利企業じゃ使えないっすね」「そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします」と投稿。発端となったツイートなどをめぐって、ネット上では「どストレートな人種差別」「国籍差別」「極めて遺憾」といった声が寄せられていた。J-CASTニュースでは11月25日に大澤氏に取材を申し込んだが、回答はなかった。
東大大学院側は28日、越塚登学府長名義の声明を発表し、学生向けに送ったメッセージを公表。メッセージで越塚学府長は「特定の国籍または民族による差別が含まれており、学環学府として到底許容できるものではありません」と非難した。同学長は同じ日、大学院のウェブサイト上で、「SNS上における大澤昇平特任准教授の不適切な書き込み等に関する事実を調査し、認定事実に基づく対応措置を検討するため」として、28日付で調査委員会を設置したと明かしていた。
大澤氏による書き込みの波紋は、関連企業にも広がった。同氏が講師を務める「情報経済AIソリューション寄付講座」に寄付していた複数の企業が相次いで、講座への寄付停止や中止を表明していた。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)